埼玉県東松山市の事件
埼玉県東松山市の都幾川河川敷で22日早朝に殺害された16歳の少年。犯人は14歳から17歳までの遊び仲間の5人でした。
この事件,2年前に起きた川崎の中一少年殺害事件とあまりにも似ています。川を泳がせ,その後暴行して死亡させた事。死亡した少年は周囲からそれなりに人気があった事。特に川崎の事件では,被害者少年の人気への妬みが犯行動機の一つでした。犯人たちと知り合って間がなかった事,川崎の事件では3ヶ月前,今回の事件ではたった1週間前。そして深夜2時頃の犯行。主犯格の少年は,どちらの事件とも複雑な生い立ちで,虐められていたり中学のときから非行歴がありました。
違いは年齢。
川崎の被害者は13歳。主犯は18歳。東松山では主犯も被害者も16歳。さらに今回の事件では,17歳の少年も事件を主導したようですね。まあこの年齢の点,両事件共似ていると言えるかもしれません。
動機はわかっている限り,どちらの事件も「そんな事で・・・」と思える事情。
それがこの世代の殺人動機です。
出会って間が無いのに殺人に発展するのを驚く大人がいるのですが,私は間が無いからこそ殺害できるのだと思います。相手をよく知っていたら,さすがに殺す事はできないでしょう。出会って間が無くて殺人に至るのはまた,衝動殺人,暴行しているうちにエスカレートしてしまった,そして出会って間が無い為に歯止めが効かなかった事を示している様に思えます。犯人グループと被害者は,憎しみが醸成する暇もない程の期間しか知り合っていません。実際,川崎の事件でもこの事件でも,犯人グループは初めは殺そうとまでは思っていなかったと言っています。出会って間が無くて,あまりしがらみが無いからこそ,強いつながりが無いからこそ,殺人にまで衝動的にエスカレートする・・・。主犯格の一人である16歳の少年が父親に連れられて自首してきた事も,衝動的な殺人であった様に思えます。
この事件が起こって,少年法の問題がまた取り沙汰されるのでしょうが,この世代だからこそ起こる事件で,やはりこの世代だからこその不安定な心情と彼らの生活環境が考慮され,大人とは別の法律で裁かれるべきだと思います。
(最近は,年ばかり食っていても,少年か?と思える事件を起こすコドモオトナもいるし,子ども返りかと思うような事件を起こす老人もいる事はいますが・・・。)
ところで,川崎の事件では,犯行現場の傍らに国指定文化財の特徴的な水門がありました。今回の東松山市の事件では,傍らに沈下橋があります。沈下橋というのは,床板が河川敷や川の水位と同じ程度の高さとして作られた橋で,低水位の状態では水面に出て橋として使えるが,増水時には水面下に沈んでしまう橋のことをいいます。洪水時には流されてしまう事も前提に作られ,また低いので橋脚が短く流され難いともいえるもので,あまり交通量が多くない橋を比較的安く作るために採用される方式だという事です。増水時に水中に没して,水面を流れてくる流木で破壊され難いという事もある様ですね。
事件現場の傍らの沈下橋は稲荷橋というコンクリート製のもので,ネットでも以前からいくつかの訪問記がアップされています。沈下橋と言えば,四万十川のものが有名で観光地化していますが,この稲荷箸も四万十川と同じ頃作られ,同じ様な形の橋です。
そんなモニュメンタルな建築物の傍らで起こったところも,両方の事件に共通していました。
(写真は,GoogleStreetViewの写真。中央が沈下橋,稲荷橋。左側が水道橋で,そちらは沈下しない様に橋脚が高い。写真前方,稲荷橋と水道橋の間の河原が現場らしい。)
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