小島正樹「十三回忌」
「十三回忌」という推理小説を読みました。私が小島正樹氏の作品を読むのは初めてです。
静岡県に広大な屋敷を構える宇津城家。当主宇津城恒蔵の夫人律子の1周忌,3回忌,7回忌,13回忌に恒蔵の愛人,谷内田杏子の3人の娘娘と谷内田杏子自身が一人づつ殺害される。
1周忌には,雷に打たれて割れた木の尖った先端で串刺しにされた。3周忌には首を斧で切断された。7回忌には唇が切り取られた。13回忌には娘の棺に覆い被さる様にして母親の杏子が殺害された。これは密室殺人だった。
ということで,4つの殺人事件は,それぞれ不思議な状況で殺害されています。各章の合間に入る独白は犯人のものですが,それがだれのものか途中で分かってしまいます(と読者は思うわけですが・・・)。
これを解くのは担当刑事の中で最年少の笠木刑事の高校時代からの友人,海老原浩一という探偵です。
本格推理小説ですが,各殺人のトリックはかなり機械的なもので,横溝正史の本陣殺人事件に感心する人には受け入れられるでしょうが,私は「な〜んだ」という感じではありました。
例えば同じ機械的トリックでも,殊能将之氏の「キマイラの新しい城」(まだこのブログで紹介していなかったですね)の,背中から剣を突き立てるトリックなど,機械トリックの先に一ひねりがありました。そのひねりがこの作品にはないのです。
それでも,7月の静岡で雪で脱線したディーゼルカー,生首の洞窟の謎・・・などなど,興味津々でした。
次は同じ作者の「扼殺のロンド」を読む予定です。笠木刑事をはじめとする警察の面々,そして海老原浩一が再度登場する作品のようです。
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