世田谷区馬事公苑周辺の,戦前の軍施設
先日,蛇崩川の源流の一つ,馬事公苑に近いババ池跡を訪れた事を書きましたが,桜新町から馬事公苑の東側を目指して歩いていく途中,陸上自衛隊用賀駐屯地がありました。馬事公苑のすぐ南東側という場所です。
「ヘー,こんな世田谷の住宅地の中に駐屯地があるんだ」という事で興味を持って調べてみたら,馬事公苑の周りというのは戦前の軍事施設がたくさんあった様です。まあその頃は,ここら辺は住宅地というわけではなく,田畑が広がる郊外の田園だったのだと思いますから,都心に近い郊外として広い土地が確保できて軍事施設にうってつけの場所だったのだと思います。
まず馬事公苑自体が軍関係の施設だったのではないかと思ったのですが,どうもそうではなさそうです。馬事公苑は,地区の区画整理組合から林野を購入し,それが附近の区画整理の資金になったようです。
馬事公苑の世田谷通りを挟んだ向かい側,東京農業大学(写真)は陸軍機甲整備学校という陸軍の自動車教習所でした。陸上自衛隊駐屯地の隣の駒沢大学付属高校が陸軍衛生材料本廠。現在ラ・コルダ弦巻という巨大なマンションになっている場所は昭和薬科大学だったところで,マンション敷地の中に大学があった事を示す石碑がありますが,もともとはやはり陸軍衛生材料本廠だった場所です。
この陸軍衛生材料本廠の一部は,現在厚生労働省国立医薬品食品衛生研究所にもなっています。
駒沢大学付属高校の校舎に囲まれて,その一部の様に見える海上自衛隊東京音楽隊の建物があり,海上自衛隊上用賀基地という大層な名前がついている様です。海のない馬事公苑周辺で,海上自衛隊の基地というのが奇異に感じます。
同じ世田谷区の三宿の辺りにも戦前は様々な軍関係の施設があって,それが世田谷公園などになっており,また現在でも自衛隊中央病院になっていたりしています。まあ前述の様に,都心に近い郊外としての世田谷が,軍施設の配置にはうってつけだったのでしょうね。
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