今更ながらの沢木耕太郎「深夜特急」
以前から読みたいと思っていた沢木耕太郎の紀行「深夜特急」。電子書籍で読みました。6冊合本版の電子書籍です。
インドから始まりますが,すぐインドに至る前,日本を出て香港,マカオ,マレー半島,シンガポールの紀行に移ります。インドを含めて,ここら辺は私も行った事がある場所で,それがどのように描写されているのか興味がありました。そしてインドからロンドンまでのバス乗り継ぎ旅。出会う人々との交流。各国のお国柄。
香港は見る事聞く事興奮の坩堝。それがヨーロッパに入ると「歩いても歩いても何も起きない。かつては出来事が向うからやってきたものだが,私は何も起きないこの街で透明な存在になったようにただ歩いている。」という状態に。旅慣れたということもあるかもしれません。旅疲れという事もあるかもしれません。ヨーロッパがつまらないというより,貧乏旅行に飽きた,または貧乏旅行をしても何も得られない事が分かったという時期だったのかもしれません。
いずれにしろ,アフガニスタンを普通に通過でき,イランなどもイスラム革命前のパーレビ王朝,そんな時代の旅行記で,いまでは同じ旅はできないでしょうね。インドからロンドンまで,バスの乗り継ぎ旅ができた幸せな時代の旅行記です。
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