小島正樹の「呪い殺しの村」
このところ小島正樹づいている私ですが,このたび読んだのは海老原浩一を探偵役に据えた「呪い殺しの村」です。2015年に出版された作品で,海老原浩一シリーズとしては,いまのところ最新作に当たります。
東北新幹線を白石蔵王駅で降りてその奥地にある不亡村。そこに住む古くからの憑き筋の家柄,糸瀬家。調査に訪れた海老原と助手を買って出た恩師の令嬢である沙川雫美の前で若い糸瀬家当主,糸瀬俊一郎により「千里眼」「予知」「呪殺」が行われる。
一方,東京で起こった二つの殺人事件。それを捜査していた警視庁捜査一課の鴻上心と鑑識課の大倉丈吉も,被害者が不亡村出身であった事から不亡村を訪れる・・・。
超能力の謎と殺人事件の謎,不亡村でかつて起こった神隠しの謎。それらの謎が深まり,ラストの怒濤の推理と解決,そしてどんでん返し。やはり小島正樹作品ですね。
しかし初期の頃の複雑な物理トリックを使って謎を作り出す手法が影を潜め,というよりそれで作品を支えるということはなくなり,最近の作品ではプロットで謎を作り出す様にまなっていて,本格推理小説としてより面白くなっています。村と旧家と洞窟と・・・。やや古くさい定番的な舞台設定であるこの作品も,初期の頃の物理トリックを駆使した作品より面白く読みました。
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