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2018/02/21

C・デイリー・キングの「タラント氏の事件簿」

Talant

 C・デイリー・キングの「タラント氏の事件簿」を読みました。
 1935年に出版された本らしいのですが,エラリー・クイーンが絶賛した短編集として私も知っていました。このほどそれが創元推理文庫で発売され,電子書籍にもなったので,読んでみたわけです。
 博物館の一室で,停電が起こったと思ったら忽然と消えてしまった呪いがかかっている古写本,ペントハウスで起きた密室殺人,有名なマリーセレステ号事件から発想されたという,乗員がボートから湖へ飛び込む理由のなぞ,古詩のとおりに消失と出現を繰り返す竪琴の謎など,不可能興味が横溢する短編集です。それを富裕な紳士,タラント氏が解決します。
 あまりにも「不思議でしょ」感を強調した構えなので,むしろ解決があっけないと思ってしまいます。そんな中で異色なのは,合理的な解決を放棄した「最後の取引」という作品です。推理小説を放棄したといってもいいでしょう。シャーロック・ホームズの最終作にしようと作者コナン・ドイルが書いたのが「最後の事件」で,それは推理小説というより冒険小説ですが,同じ様にタラント氏の最終作は推理小説に非ず,オカルト小説です。そして,その作品の後,「危険なタリスマン」でタラント氏が復活するのも,ホームズの様ですね。

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