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2018/03/06

芦辺拓「名探偵・森江春策」

Morie 森江春策を主人公にした中編5作品を収める中編集です。しかも各編は,森江春策が小学生時代,中学生時代,大学生時代,そして新聞記者時代,弁護士になってから,という5作品です。
 小学生時代の物語は,森江少年が街で見かけた怪建築「キネオラマの館」が舞台です。そこ見かけた美少女,森江少年を追いかける男女,敵か味方か分からない怪人。少年探偵団の時代そのままに右往左往する森江少年。再度館を訪れた森江少年は,美少女の正体,事件の真相を見破る。
 中学生時代の物語は,自宅の改修と高校受験勉強のため期間限定で一人引っ越す事になった森江少年が出会った殺人事件,13号室の消失・出現の謎。不可思議な事象が見事に解決される,好きな作品です。
 以降,趣向を凝らした読み応えある中編が並んでいます。おなじみの滝警部補のパートと大学生森江春策のパートが交互に進み,それが最後に合体する大学生編,一種の不思議なアリバイくずしもの,新聞記者編,最後はタイムマシンが実現されたとしか思えない状況で謎を解く弁護士編。最後の弁護士編では,タイムマシンが実現されたとしか思えない状況をタイムマシン無しで実現できると春策が喝破するが,しかし・・・,という作品。芦辺拓が本領発揮した短編集と言っていいでしょう。
 出世作,「殺人喜劇の13人」に繋がる作品もあって,それをもう一度読みたくなりました。

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