乾くるみの「カラット探偵事務所の事件簿」
乾くるみの「カラット探偵事務所の事件簿」は現在のところ2冊あります。いずれも短編集。
所長の古谷と助手の井上,高校時代の同級生である二人がやっている探偵事務所です。
古谷は資産家の三男坊で,事務所のあるビルも古谷家の持ち物,その最上階でシャーロック・ホームズ時代のような内装の探偵事務所を営んでいます。浮気調査などは行わず謎解きだけを扱う探偵社で,だからいつもヒマです。それでも時々事件は舞い込む。1巻では6件,2巻では7件の事件が語られます。
語られる事件には日常の事件もあり,まあどうって事のないお話が多いのですが,特徴あるのは1巻と2巻それぞれの最終話です。一種の楽屋落ちで,それが目玉の様になってどうなの?という気もしますが,その2編に特徴のある短編集です。
(以下はネタバレ)
読んだ人しか分からないでしょうが,2巻の最終話に登場する依頼人,西田カレンは男なんでしょうね。井上が「たとえ男の側にその気がないのが明らかだったとしても,独身の男女をあんな狭い部屋で二人きりにさせて,もし間違いがあったらどうする気だったんだ。」といっていますからね。西田カレンに対して古谷がつれない対応をしている事からも,そう言う事なのでしょう。1巻の最終話を読んでいない人は「独身の男女」の男が井上助手,女が西田カレンだと思うわけでしょうが,実は逆だという事ですね。
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