ブロックチェーンの落とし穴
昨日,Jasracがブロックチェーンを使って楽曲の利用・徴収・分配履歴を改ざんが困難な形で記録し,音楽著作権使用料の流れの透明性を高めるという取り組みをしている話を話題にしました。
昨今,ブロックチェーンを様々な分野で使うという報道,記事が溢れています。しかし,先日の記事に書いた3点のポイントについて,はっきりか分かる記事はまずありません。
その3点をおさらいすると,
1.誰がマイニングするのか→パブリックブロックチェーンなのかプライベートブロックチェーンなのか
2.マイナーは何人なのか→大規模ブロックチェーンか小規模か→改竄が容易かどうか
3.マイニングの報酬は何で払うのか?→既存通貨で払うとなると,とんでもない高額のシステムになる可能性がある
ブロックチェーンを使って何かをやろうとする場合,誰がマイニングするのかについては,一般の記事からはわからない場合が多いです。Jasracの記事でも書きましたが,主宰企業の数人の社員などという事になれば,限りなく集中型台帳方式に近くなり,ブロックチェーンなどとは言いがたくなります。それでも社員だけなら安全かもしれません。何か海外で物を作り,その流通などにブロックチェーンを利用しようなどという場合,現地や第三国の関係者,原材料の生産者や流通業者などがマイナーになり,それでもマイナーは100人以下などという事になれば,ブロックチェーンといえども改竄の可能性は高くなります。
また多くの場合,独自の通貨なりトークンを作って,それをマイニングの報酬としてマイナーに支払うという計画である様です。その場合,発行するトークンの対既存通貨レートが高くなればいいですが,そうでなければ誰もマイニングに興味を持たなくなり,ついにはマイニングのために既存通貨でマイナーを雇う事になって,結局とんでもなく高価なシステムになってしまいます。
ブロックチェーンだから安心というわけではなく,ブロックチェーンはなかなかに手ごわいですよ。
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