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2019/04/03

三津田信三の「四隅の魔」

Yosumi  以前刀城言耶シリーズを紹介した三津田信三の別のシリーズ,死相学探偵 弦矢俊一郎のシリーズです。他人の死相が見える主人公探偵。今作でもそれが手がかりとして生かされています。
 「四隅の間」とは,真っ暗な部屋で5人が四隅に配置され,まず二人配置された一カ所の隅から1人が次の隅に向い,その隅の人にタッチします。タッチされた人は次の隅まで移動して,その隅の人にタッチ,タッチされた人は次の隅に向い・・・という循環を行います。それが最高潮に達した頃,そのなかの1人が部屋の中央に移動し,循環から抜けます。すると「隅の人タッチ」の循環が途絶えるはずですが,途絶える事なく循環が続く。それは霊か魔物がその部屋に召還され,それが循環に加わるからというオカルト儀式なのです。
 大学の非公認サークル「百怪倶楽部」のメンバー男性2人,女性3人が,寮の地下室で「四隅の間」を行うところからこの話が始まります。その儀式の最中,真っ暗な部屋の真ん中に抜けた女子学生が突然死を遂げます。死因は心臓マヒで,警察の捜査でも事件性はありませんでした。
 やがてもう1人,「四隅の間」に参加していた男子学生1人が歩道橋から転落して死亡。その段階で,女子学生二人が弦矢俊一郎をたずね,解決を依頼,俊一郎はその二人に様相の異なった死相を視ます。実はその前に,百怪倶楽部の周辺に黒衣の怪しい女性が目撃されていました。
 そしてそれから,もう1人の男子学生が男子寮の部屋で首を吊っているのが発見されます。彼の首に警察は絞められた跡がかすかについているのを発見,3件目にしてはじめて犯罪として認められます。
 最後は関係者全員を集めての弦矢俊一郎謎解き。意外な犯人が指摘されます。手がかりになったのは,女子学生の死相が異なっていた事,それに途中から1人の死相が消えた事。なぜ死相が消えたのかが,犯人の手がかりになりました。
 とても面白い推理小説です。最後に本筋とあまり関係ないちょっとした怪異が認められるのは三津田信三のお約束ですが,オカルト風の物語りはおおむね本格推理小説としておわります。

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