世の中に流れているたくさんの記事で,「何を勘違いしているのか?」という記事があります。最近では,「韓国への日本政府の貿易規制強化」に関する多くの記事が,まるで規制強化で韓国経済が滅亡するかのような事態を報道していて,その勘違いに笑えます。選挙戦前に必ず出てくる,与党が2/3を獲得すると,いきなり憲法改正できるかのような勘違いが世の中に流れ,憲法改正手続きを理解していない人が多いことがわかります。
ネット上にあった「年収180万円の若者が年金300万円の老人を支える日本の絶望」という記事も,そんなたぐいの記事です。
「年収180万円の若者が、年金300万円の高齢者を支えるといういびつな社会が出現する」と主張する記事ですが,今の年金制度は,若者からは一定額の保険料をおさめ,その時代の若者の納めた保険料をその時代の老人世代が分配するシステムです。若者から取る保険料は一定です。
その時代の老人の人口や支給される年金額に左右されずに若者から徴収する年金額は一定で,そのかわり老人の受け取る年金額が,その時代の若者の人口により,また老人の人口により増減するシステムです(若者から集めた年金額は一定で,それを単にその時代の老人間で分配するだけだから)。
これがつまり「100年続く年金システム」で,老人世代が年金で生活できるかどうかはわかりませんが,年金システムは若者が存在している限り,破綻せず続きます。
だから,年収180万円の若者は,年金300万円の老人が世の中からいなくなり,年金50万円の老人だけになったとしても,取られる保険料は変わりません。その時代の年金額が300万円ならば,年収180万円の若者から徴収した一定額の保険料で,それだけ老人に年金を支払うことができるという事実があるにすぎません。
それなのに,なぜ若者が「絶望」する必要があるのか? この記事の執筆者の頭の中は,この記事の言葉で言えば「いびつ」です。
ところで,年金の話というと,とかく老人世代に対し生活に十分な年金が支払われないという視点での話が支配的ですが,私はむしろ,「その時代の若者から無駄に多くの保険料を取らない」という事の方が重要だと思っています。
まあ,その若者も,すぐに老人世代になってしまいますがね・・・。
(年金手帳のイラストは,フリーイラスト素材サイト「いらすとや」より。)
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