台風だから,本でも読もうか・・・という事で「魔女の隠れ里」再読
10月12日土曜日の関東地方は,朝から雨。午後からは時折風も吹いてきて,雨脚も強くなってきました。稀に見る強烈な台風19号の襲来です。
午後からは鉄道も計画運休してストップし,コンビニも休業・・・という事で,家に釘付け状態です。そこで,推理小説でも読みましょうかという事で,最近Kindleストアで購入したはやみねかおる の2018年の新作,「奇譚ルーム」を読もうかと思ったのです。しかしKindleのマイライブラリーを探している途中に見つけた,すでに読んでいた「魔女の隠れ里」を読むことにしました。内容はよく覚えておらず,好印象のみ記憶にある作品だったからです。
この作品,読了してみてやっぱり面白かった。漢字には全てルビがふってある,少年少女向けの作品ですが(「はやみねかおる」は,そもそも児童冒険・推理小説作家),推理小説好きの大人が読んでもおもしろい。
この「魔女の隠れ里」は,12作ある名探偵・夢水清志郎事件ノートシリーズの4作目ですから,シリーズ初期の作品ということでしょう。旅と料理の情報雑誌「セ・シーマ」のタフな編集者にして出不精の夢水清志郎を事件現場に引っ張り出す役目を負っている,シリーズではおなじみの伊藤真理嬢の初登場作品です。
この本には二つの中編作品が入っています。「セ・シーマ」に謎解きを含めた紀行文を書いて欲しいと夢水の元にやってきた伊藤真理嬢。渋る夢水の背中を押したのが,夢水探偵の保護者の岩崎真衣,しつけ係の美衣,飼育係の亜衣という中学生の三つ子三姉妹。シリーズの語り手を務める夢水探偵の隣家のお嬢さんたちです。
N県A高原のスキー場へ連れ出された夢水探偵が解くのは,雪霊の藪という竹藪に向かったままその竹藪直近で足跡が消えて行方不明になっていた3歳の男の子の事件。3日後に男の子は竹藪から離れた川の中で見つかりました。足跡は竹藪の直近で消えていて,そこから離れた川で遺体が見つかったという事件です。さらに一本の木に向かってスキーのシュプールが伸びていてその木を挟んで一本づつシュプールが別れ,木の前方でまた合流していた不思議。どちらも前例のあるトリックですが,特に木をまたぐシュプールの謎などは,方法はこれしかないという想像がつくもので,しかし前例の推理小説よりも効果的に使われており,むしろ前例があったのが勿体無いと思われる出来でした。
そして「魔女の隠れ里事件」。「笙野の里」の村おこしで企画された推理ゲームの取材に,桜餅を餌に食いしん坊の夢水探偵を引っ張り出した伊藤真理嬢。もちろん隣家の岩崎三姉妹も一緒に笙野の里に出かけます。
笙野の里にある「時空曲屋(ときまや)」という不思議な古屋敷の謎。外見に比べて中の部屋が異常に多く,また大きいという不思議な屋敷。「魔女」から送られてきた11体のマネキン人形,第一の犠牲者である伊藤嬢のコーヒーカップにだけ塩が入っていた事件,目撃された空を行く魔女,村長,村の医師,寺の住職が第二,第三,第四の犠牲者として「魔女」から指名され,寺の住職が密室で襲撃された事件,そして明かされる20年前の一家三人の消失事件。その20年前の事件と今回の「魔女」による事件の関係は?
殺人事件は起こりませんが,不思議な事件が笙野の里で起こっていきます。
最後に明かされる真犯人にはびっくり。この作品以降のシリーズを読んできた者は犯人に驚くでしょう。
推理小説としても,ユーモア小説としても,面白いジュブナイルでした。
ところで,12日はネットがいつになく重い日でした。みなさん台風情報をネットで見ていたのでしょうか?
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