北朝鮮のSLBM発射
米朝協議が行われようとしている直前,10月3日に北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射して成功させました。一説には,潜水艦からではなく,海中に作られた発射施設から発射されたといわれています。一方,ミサイル発射能力を持つ潜水艦を建造中で,その建造中の写真が発表されています。次の段階として,潜水艦からSLBMを発射する実験がおこなわれるのでしょう。
問題は,このような発射が,米朝協議あるいは大ぐくりで経済制裁を止めさせるための示威行為目的かどうかということです。それならば,何回かの米朝協議の結果として,非核朝鮮が実現する可能性もあります。
しかしもし軍事技術開発を粛々として進めていく事がそもそも目的だったとしたら? アメリカと協議していれば,のらくらと協議している間はアメリカからの攻撃はあり得ないという状況を作り出した上で,軍事技術を開発する事を目的としているのだったら? それならば,いくら米朝協議を行っても,非核化は実現しないでしょう。そもそも核武装が目的で,アメリカとの協議は開発期間中の安全保障でしかないのですから。
私はどちらかというと,北朝鮮の目的はそもそも軍事技術開発期間を稼ぐ事であって,米朝協議実施はその間の安全保証のためだけにすぎないと思っています。協議に向けた示威行為ならば,これまでのように陸上から発射する短距離ミサイルでいいはずで,さらに技術的に難しいSLBMを発射したという事は,やはり軍事技術の発達を狙っているのだろうと思います。
今回のSLBM発射も,米朝協議への示威行為としてのミサイル発射と見る人もいます。しかしそれならば,これまでと同じ短距離ミサイル発射にとどめておく事の方が,アメリカを刺激せずに米朝協議を成功に導くのではないかと思います。
まあ実際のところ,軍事技術が発展できたらそれでいいし,協議が成功して制裁解除が行われればそれでいいしという,両方向を狙っているのでしょう。北朝鮮のそこら辺のさじ加減というのは,実に巧みです。アメリカを怒らせて日米と離れていく韓国などは,利用価値がなくなったということで,北朝鮮は歯牙にもかけない事でしょう。
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