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2020/11/15

ジョン・ディクスン・カーの「白い修道院の殺人」

White-priory あまりにも有名な雪の密室もの推理小説。私はグーテンベルグ21出版による電子書籍版でよんだので「白い修道院の殺人」ですが,創元推理文庫版では「白い僧院の殺人」という事になります(創元版の電子書籍はなし)。
 ヘンリ・メリヴェール卿の甥であるベネットは,招待されて訪れたイギリスの「ホワイトプライオリー(白い修道院)」という館で,そこに滞在していたハリウッドの大女優の撲殺死体に遭遇します。雪の積もった中,ホワイトプライオリーの別館で撲殺されていたもので,別館の周りは発見者であるホワイトプライオリー当主の弟,ジョン・ボーン氏以外の足跡はついていませんでした。女優は3時間前に殺害されたものであり,ジョン氏の足跡は新しく,ボーン氏が犯人である可能性はありませんでした。つまり,殺害が行われた3時間前の犯人の足跡は,雪がずっとやんでいたにも関わらず,別館の周りには付いていなかったのです。もちろん別館の中にも犯人はいない・・・。
 この有名な白い密室の状況に対して,順次3つの解決が登場人物たちによって提示されます。最後の3つ目の解決は,お馴染みのマスターズ警視とベネットによってホワイトプライオリーに呼び寄せられたヘンリ・メリヴェール卿によるものでした。前二つの解決が何気にミスディレクションになって,第三の真相がHM卿によって提示されると,読者としては「そんな方法があったのか」と膝を打つ事になります。
 周到に計算された傑作の誉高い推理小説で,読者の快い”やられた”感は,とても素晴らしいものでした。しかし「雪による足跡密室」というあまりにも有名なシチュエーションなので,真相を明かされた後で,トリックの既視感に襲われるのは致し方ないでしょう。

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