中国でデジタル人民元の流通実験が拡大する
中国でデジタル人民元の流通実験が広がっているようです。
国家が法定通貨のデジタル版を発行する意図はよくわかるのですが,民間(中国でもそういっていいのかな?)との競合をどう考えるのかですね。
結局,デジタル人民元を普及させたいとなると,民間のペイをつぶすしかありません。
民間のほうは,ポイントなどで国民にアピールするのでしょうが,中国の場合,国が「ヤメろ」といえば,民間ペイは撤退するしかありません。
しかし,自由主義国ではそうはいきません。むしろ民業圧迫という誹りを受けることを覚悟せねばならないでしょう。
「日本はまた後れを取っている」などという人も現れるでしょうが,そもそも,中国とは社会情勢が違います。中国のように,小国にデジタル法定通貨の技術を供与して覇権を狙うとか,米国製などの暗号通貨の流通を妨げ通貨発行権力を国家に集中させるとか,紙やコインでは不可能だった人民元の動きを確実に追跡するとか,我々からすれば不純な(笑)動機があるわけです。
東欧などの小国ならいざ知らず,少なくとも自由主義先進国では,既存通貨デジタル化のポーズを見せる事くらいが関の山で,法定通貨のデジタル化は,紙や金属のお金を発行する必要がなくなる程度の利点しかないでしょう。多分,法定通貨がデジタル化されたとしても,民間ペイなどのキャッシュレスの裏付けとしてあるだけで,積極的に国民に普及させるべきかどうかは疑問です。民間ペイを通して普及すればそれでいいし,むしろ資本主義国ではその方がいいのです。
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