先進国の3回目接種より途上国を先に接種せよという意見
「先進国の3回目摂取より途上国を先に接種を」という意見を耳にします。先進国の三回目接種用のワクチンを途上国に回せという意見です。
たしかに,今回の南アフリカ発祥のオミクロン株の状況を見れば,ワクチン接種の進んでいない途上国(南アの接種率は20%台のようです)で感染が進んで危険なウイルスの変異が起こって世界に脅威を与える事が予想されるわけです。
そんな事を考えれば,途上国でのワクチン接種を進めなければならない事はもっともな話です。しかし,先進国で接種しているファイザーやモデルナのワクチンを途上国に持って行ってもだめです。マイナス何十度という低温で保管する必要のあるこれらの先進国型ワクチンは,途上国でうまく保管することは困難です。冷凍庫も一緒に途上国に送ったとしても,肝心の電力状況が不安定で,途上国では停電がよく起こります。日本でも,冷凍庫の電源ケーブルが抜けてワクチンがおシャカになったという事態が起こりましたが,それが日常的に起こる可能性が大きいのです。
途上国でのワクチン接種は進めていくべきでしょう。しかし,先進国での3回目接種として使われるファイザーやモデルナのワクチンを途上国に持って行っても,役に立ちません。保管条件のゆるい,アストラゼネカ等のワクチンを用いるべきでしょう。したがって,「先進国の3回目摂取より途上国を先に接種を」というのはいささか見当違いでしょう。
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