憲法第9条と日米安保
ロシア軍によるウクライナ侵攻を受けて,「憲法9条で国を守れるのか」という懸念の声がSNSなどで増えていて,夏の参院選に向けて「9条改憲阻止」を訴える共産党は,その火消しに躍起となっているという報道がありました。
共産党のいう「憲法9条をウクライナ問題と関係させて論ずるならば、仮に(ロシアの)プーチン大統領のようなリーダーが選ばれても、他国への侵略ができないようにするための条項が、憲法9条なのです」というのは一理あります。日本はかつて,憲法9条がなかった時代に,他国を侵略した歴史があるのですから。
しかしながら,外国にプーチン氏のようなリーダーが現れた場合,西側諸国は同盟国でもNATO加盟国でもない国を軍事的に守る手立てが無いことが,今回のウクライナへのロシア侵攻で明らかになったのです。経済制裁は一向に機能しません。ロシアのように侵攻する国の側は,経済制裁が行われる事は織り込み済みで,それが機能しないことを見極めた上で侵攻しているのです。
西側諸国は,ロシアのウクライナ侵攻を受けて,旧ソ連から独立したバルト三国を守るために,NATO軍の増派を行おうとしていますが,西欧諸国が軍事的に守れるのはNATO加盟国であるバルト三国までなのです。
そんな状況を見ると,日本を軍事的に守るのはやはり日米安保条約だと言わざるを得ません。
憲法第9条と日米安保は,一体のもの,セットで考えなければならないものなのでしょう。両者は盾の両面で,日本国内に盾を向けて第9条で日本自身が外国に対して侵略戦争を行うことを阻止し,海外に盾を向けて安保条約で外国が日本へ侵攻することを防ぐのです。
憲法第9条と日米安保は,和平に対する盾の両面で,どちらか一方があれば事足りるというものでは無いことを,今回のウクライナ情勢が示しています。憲法第9条を堅持するという事は,日米安保条約も堅持せざるを得ないという事なのです。
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