中国の監視国家モデル、相反する二つの顔
「中国の監視国家モデル、相反する二つの顔」という記事を読みました。一方は中国杭州市,もう一つは同じ中国の新彊で,監視カメラを使った実験が行われているという記事です。警察ではなく,交通渋滞の解消や食品の安全性の徹底、「城管」と呼ばれる都市管理部隊の地元支部がAIツールを使い,警察がわざわざ介入しないような任務に当たり,監視カメラから集められた膨大なデータがAIを用いたアルゴリズムに送られ,交通渋滞の解消や食品の安全性の徹底や救急隊員の迅速な派遣に寄与しているそうです。
それとともに,犯罪者をとらえ,誘拐された子どもを発見し,交通規則を無視して道路を横断する者を戒めるという事もやっている。杭州市では,主に新興の中流階級が多く住む地域で監視が行われている。それは,それらの階級が,最もキレやすい階級だからということによっている。つまり,富裕層は問題を起こす動機がなく,貧困層にはその力がない。しかし中間層はちょうどその両方を持っていて,容赦のない長時間労働,未整備の医療制度,絶え間ない物価高騰,環境汚染に食品安全の問題,そして乱高下する株式市場,などなど。今の中国を生き抜く上で,相当なプレッシャーにさらされている中流層が「キレ」やすくなるというわけです。
新彊でも,市民の善行に報い悪行には罰を与えるという同じことが行われているのですが,違うところは「何が悪行なのか」という基準です。杭州市では,民主主義国家と同じ犯罪者,法律違反者を取締ることになっているのに対して,新疆では反共産党,反中国を取締ることになっていることが問題です。外国から見れば,新疆の事例は弾圧に見えます。
一方,このような監視と情報のシステムは,車の自動運転では必須となると思われます。自動運転は車自身をロボット化しても実現できず,交通状況を面としてとらえてその地域の各車両に情報を与えて動かすという事が必須だと思います。
この分野でも,たぶん中国に世界は負けるのではないでしょうか。
(AIによる描画サイト「Dream by WOMBO」で,「新彊」というテーマで描いた絵。まあ,一般的な中華イメージですね。)
| 固定リンク
コメント