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2022/11/07

近藤史恵著「モップの精と二匹のアルマジロ」を読了

Mop-arumajiro 「モップの精と二匹のアルマジロ」を読了。著者,近藤史恵さんの名前を知ったのは,テレビドラマからです。西島秀俊主演の「シェフは名探偵」というドラマで,その原作が近藤史恵さんの「ビストロ・パ・マル」というレストランを舞台にした推理短編集と知って,原作の短編集3冊を読んだのが始まりでした。
 それから同氏の別のシリーズである,若いプロの清掃人キリコを主人公にしたシリーズを読みました。そのキリコシリーズは5冊あって,その中の唯一の長編が,キリコシリーズ第4作である「モップの精と二匹のアルマジロ」という作品です。モップの精はもちろん名探偵役であるキリコの事,アルマジロは固い殻に閉じこもってなかなか自身の気持ちを明かそうとしない二人の登場人物を指しています。
 今回のキリコは,夫である梶本大介が務める会社が入っている大きなビルの清掃を担当しています。そしてキリコが,夫の浮気を調査してほしいと依頼されるところから話が始まります。本来ならプロの探偵に頼むような仕事ですが,ちょっとした好奇心から引き受けるキリコ。大介からは呆れられますが,調査対象の越野友也もまた大介とは違う会社ですが,同じビルで働いています。越野友也はものすごいハンサムな人なのに,彼の方から結婚を申し込んで結婚した真琴はたいして目立たない女性です。真琴が言うには,結婚以来友也の帰宅が遅いのを残業のためだと思っていたら,ふとした事から友也は残業をほとんどしていないことがわかり,夕方会社を出てから夜遅く自宅に帰るまで,浮気をしているのではないかと疑っているのです。
 キリコは,越野友也の勤務するフロアに清掃フロアを変わってまで身辺調査を行います。仕事を終て事務所から出た友也を尾行すると,彼が中野にあるマンションに入っていくのを目撃します。
 そうこうしているうちに,友也が交通事故に遭い,過去3年間の記憶を失ってしまうという事件が起こります。真琴と結婚したのは1年半前の事。真琴の事も記憶にないようです。友也はマンションの事も記憶になく,マンションの鍵もどこの鍵かはわからないようです。鍵を借りてキリコと大介がそのマンションに入ってみると,女物の洋服や小物などがあって,確かに女性が住んでいたように思われます。
 そんな風に物語は進み,その後大きな事件が起こることも,上述の事以外に大きな謎も出てこないのですが,妙に物語の行方が気になり,結局一気に読んでしまいました。近藤史恵氏の推理小説の面目躍如というところでしょう。
 キリコのシリーズは,梶本大介目線で進行するのは第一短編集だけで,他の作品では大介があまり出てこないのですが,今回の作品は全編大介目線で語られて,それも好感を感じます。

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