森博嗣Gシリーズ6作目は,「η(イータ)なのに夢のよう」
5件の首つり自殺事件。はじめは,常識はずれの神社境内の12mもの高さの木の上で首をつっていました。「ηなのに夢のよう」という絵馬が残されていました。2件目は池の中の小島で,そして3件目は,西之園萌絵の友人,反町愛の自宅マンションのベランダで首をつっていました。どれも自殺としか思えない状況でした。普通自殺とは考えられない特異な場所を選んでいることを除けば・・・。
という事で,普通の推理小説なら,その特異な場所でどのように自殺したのか,そんな場所を選んだ訳は?というのが最大の謎興味になります。しかしこの作品では,最後まで読んでもそれらの回答は明確には与えられません。最後まで読んでも,えっ,これでおわり?という感じなのです。
今回は,萌絵の愛犬トーマの老衰死の事を含めて,「死とは?」「萌絵の両親を奪った飛行機事故の真相は?」「萌絵の東京移動をはじめとする様々な転換」を描いた外伝的な作品だと思います。ミステリーとしてはぎゃふんという作品ですが,結局内容的には盛りだくさんな作品だったと言えるでしょう。
山吹,加部谷ら,Gシリーズの中心人物はとりあえず脇にどいて,Vシリーズの瀬在丸紅子,保呂草,などなどが登場し,結局ミステリーとしての言及は,紅子が担当するという事になっています。
そういえば,ηという文字は首つりの形ですね。
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