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2023/02/08

森博嗣のGシリーズ7作目「目薬α(アルファ)で殺菌します」

Mori-hiroshi-qlpha 森博嗣のGシリーズの7作目「目薬α(アルファ)で殺菌します」を読みました。
 あるメーカーの目薬に,薬物が入っている事件が起こります。日本各地の薬局で購入された物,それにメーカー社内でも薬物入り目薬が発見されます。薬物は希硫酸などで,目薬を差しても,目を洗浄すれば,たいした被害にはなりません。問題は,その目薬の名前には「α」がついている事です。一連のギリシア文字事件との関連はが疑われます。
 やがてそのメーカーの男性社員が殺害されました。同じ職場の女性社員に言い寄っていた札付きの社員だったのですが,αの名がついた目薬を握っていました・・・。
 結局,目薬事件の犯人は推測できるものの,作品中でははっきり犯人を指摘していません。その動機も,こうじゃないのかという推測は登場人物が述べていますが,はっきり断定されていません。犀川先生曰く「能力がなくても,社会を恨んだりする人間だっている。あれも,社会を個人としてみなしている例です。だからこそ,その個人の中に存在する細胞の幾つかを傷つける,という発想になる。(中略)そうすることで、社会という個人に気づいてもらいたい,社会にかまってほしいわけです。」
 まあ犀川先生が言うのなら,それが動機なのだろうと思うしかありません。
 まあ,一作だけ読んだだけではよくわからないのが,ここ数作のGシリーズです。そういう意味で,合本版を買って正解でした。各作品を,一つの物語の章であるかのように読めますからね。
 殺人事件に関連して最後に明かされる,一種の叙述トリックに対する驚きはありました。
 四季シリーズでは,一本の長編の章を分割して出版したと作者である森博嗣先生は言っているのですが,Gシリーズの各作品もそうではないのかと思えてきます。さらに,本文中の言葉でいえば,「ですから,それはわかりません。もっと未来に,ああ,これがそうだったのか,とわかるような問題なんですよ」というのがGシリーズなのかもしれません。

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