« 2023年2月 | トップページ | 2023年4月 »

2023/03/31

殊能将之の「ハサミ男」

Hasamiotoko 本来なら,森博嗣のXシリーズ第5作目を読むところを,ちょっと浮気して殊能将之を読みました。これまで「美濃牛」など,いくつかの作品をこのブログで紹介してきた殊能将之ですが,今回は「ハサミ男」を読みました。過去に読んだように感じていたのですが,電子書籍の履歴にこの作品がなく,まだ読んだことがなかったのですね。
 既に二人の女子高生の殺害事件が起こり,マスコミが「ハサミ男」という名前を付けていて,警察が犯人を追っていました。その状況で,「ハサミ男」は三人目の女子高生に目をつけて,尾行で行動を探ったり,学校や自宅を確認したり,犯行の準備をしていました。物語は「ハサミ男」が三人目の女子高生に目をつけるところから始まります。冒頭は,「ハサミ男」の一人称で語られます。そして途中から,警察の磯部刑事の視点でも語られるようになり,「ハサミ男」視点の章と磯部刑事視点の章が交互に現れます。
 そして「ハサミ男」が第三の被害者を殺害しようとして被害者の自宅を見張っていますが,女子高生なのに夜になっても帰宅しません。仕方ないと帰る途中の公園で,意中の被害者が殺害されているのを発見します。しかも,絞殺の後自分が持っているのと同種のハサミでのどを突かれていました。これまでの二件の自分の犯行と同じ手口でした。現場のもう一人の発見者が警察に通報し,「ハサミ男」は発見者の一人として警察の事情聴取を受けます。そして自らも犯人を捜していきます・・・。
 この作品の構造,つまり叙述トリックに脱帽しました。「ハサミ男」と磯部刑事が交互に語り手となるわけですが,磯部刑事目線で認識している「ハサミ男」ともう一人の語り手の「ハサミ男」が同一人物なのかという事です。読者は当然同じ人物だと思うわけですが・・・。
 なお,第三の事件の真犯人は「ハサミ男」ではないわけで,その真犯人が誰かは途中で推測がつきました。

| | コメント (0)

2023/03/30

森博嗣の「ムカシ×ムカシ」

Mukashi-mukashi 森博嗣のXシリーズ第4作目は「ムカシ×ムカシ」です。
 東京郊外の広い敷地を持つ邸宅で老夫妻が殺害され,残された膨大な美術品の鑑定を依頼されたSYアート&リサーチの小川と真鍋が屋敷に赴きます。その屋敷には,殺された老夫婦の孫である若い女性,君坂一葉が滞在していました。
 その後,その屋敷の敷地にある古井戸から,男性の死体が発見されます。死体はこの屋敷,百目鬼家の係累の男でした。そしてそれから,君坂一葉の母,妙子が密室で殺害されます。百目鬼家の古井戸には河童の伝説があり,君坂妙子は皿を頭に乗せて殺害されていました・・・。
 推理小説としては,ホワイダニットの作品です。密室については,「密室物の推理小説はたくさんあるよね」で終わり,どのように犯人が密室を作ったかは明らかにされません。頭の皿の意味もわかりません。眼目はあくまでも "犯人はどんな理由で殺人を犯したのか?" にあります。この殺害動機は,一般的な想像の右上を行くもので,そういう意味ですぐれた作品だといえるでしょう。
 さらにまた,エピローグも印象的です。この屋敷のかつての主人が,何のためにモネの絵画を購入したのかという事に関して,真賀田四季の名が表れます。ここでも彼女の影が表れてくるのですね。Xシリーズでありながら,何だかGシリーズのように感じます。

| | コメント (0)

2023/03/29

横浜日吉から西谷へ

Shinyokohama1 知人女性が,この度初めて東急・相鉄新横浜線に乗りました。東横線日吉から相鉄線西谷へ行く機会があり,乗ったそうです。
 そうしたら,16分しかかからず,運賃は508円だったとの事。いつもは東横線で横浜駅まで行って,相鉄に乗り換えて西谷へ行くそうで,時間にして35分ほど,運賃は415円だそうです。この女性は,「16分しか乗らないのに500円以上の運賃って,どういう事!」というのですが,私は,「20分も早くつくから90円余りも高いのだろう。90円の特急料金を払って20分早く着いたと思えばいいじゃない。」と言いました。
 3月18日に開通したこの新線は,一般的にこの女性のように "高くつく" と思っている人も多いでしょうが,圧倒的に早いのです。まあ,東急-相鉄直通電車が10分に一本程度だったりするので,事によったら駅で待っている時間が長い場合があるかもしれませんが,それでも早いようです。

 一般的に言って東横線からの新線の利用は,新幹線に乗るために新横浜へ行く場合が多いでしょう。この場合,電車に乗ってしまえば,日吉ー新横浜間は7分しかかかりません。運賃は250円です。以前の菊名乗換,JR横浜線利用では15分程度,326円かかりますから,時間的にも料金的にも便利になりました。

| | コメント (0)

2023/03/28

今度は「Stable Diffusion」を試してみようか

Snow-tree-ukiyoe これまで,AI描画サイトとして,「Dream by WOMBO」を試用して,いくつかの口絵をこのブログに挙げてきましたが,今度は「Stable Diffusion」というAI描画サイトで描いてみました。
 テーマは,「snow tree 浮世絵」。その結果が,左の絵になります。確かにそれらしいですね。まあ,浮世絵感は今一つかもしれません。
 Stable DiffusionはDream by WOMBOに比べて,多少描画に時間がかかるようです。

| | コメント (0)

2023/03/27

サクラを散らす雨?

Sakura2_20230326171001Sakura1_20230326171001 3月26日(日)の東京地方は雨降り。前日の天気予報では,「サクラを散らす雨」と表現していました。実際のところ,ご覧の様に確かに花びらが散っています。しかし,まだまだサクラは満開を保っている様に見えます。
 雨模様で肌寒いので,サクラはまだ保っているのかもしれません。でも,休日のお花見は,この雨の日曜日限りかもしれませんね。

| | コメント (0)

2023/03/26

回転寿司屋には監視が必要?

Kaitensushi 回転寿司が迷惑動画にさらされていることに対して,「効率化を追求し省人化を徹底した店舗が、結果として若者がいたずらをする格好の場になった」という指摘がありました
 以前,アメリカの回転寿司屋で迷惑動画にさらされないのはなぜかという記事がありましたが,その記事では「アメリカでは店内の監視が厳しいから」という事でした。その記事とこの記事を合わせて読むと,今回の記事で言うように,迷惑動画多発の原因は,「監視のないチャラい場所になっていたから」というのも理解できます。

| | コメント (0)

2023/03/25

空いている

Tallys 朝のカフェ。コロナ以前は同じ時間でも席は結構ふさがっていたのに今は御覧の通り,空きが目立つ。
 リモートワークで通勤者が減ったのか? でも電車やバスの乗客はそれほど減っているとは思えない。そう考えると,カフェの値上げのせいかな? 昔360円だったカフェラテが今は400円越えになっていますからね。

| | コメント (0)

2023/03/24

横浜市営地下鉄「踊場」駅の名前は・・・・・

Odoriba1Odoriba2 小田急,相模鉄道,横浜市営地下鉄の3線が乗り入れる神奈川県藤沢市「湘南台」駅。3月18日からは相模鉄道のこの駅から東京都心へ向けて電車が始発することになりました。
 横浜市営地下鉄でこの駅から四つ目の駅が「踊場」という駅です。地名には踊場という名前はありません。ここは藤沢市ではなく横浜市になります。一つ横浜駅寄りの駅は東海道本線も通る戸塚駅です。
 さて,ここで踊ったのは何かというと,猫なんですね。そのいわれについては,駅に掲げてあった左の掲示板(下の写真。クリックすると拡大します)をご覧ください。上の写真は,地下鉄2番出口の脇にある猫への慰霊碑です。元文年間,1737年建立という古い碑ですが,大きな道路際にあり,道路を建設するときに元の位置から移設されているようです。実際猫が踊っていたのは,この慰霊碑の斜め向かいにある交番付近だったとの事です。
 猫が踊るという民話は日本各地にあるようで,島根県の民話では,猫の名前まで「トラ」といい,神奈川県の民話と同じです。しかし,横浜市の踊場は,踊っていたのが現在の踊場交番の場所だとか,かなり具体的なのが不思議です。

| | コメント (0)

2023/03/23

森博嗣の「タカイ×タカイ」

Takai-takai 先日の記事で,ChatGPTに内容を要約させようとして,見事に失敗した森博嗣のXシリーズ第3作目「タカイ×タカイ」,読了しました。
 有名なマジシャン,牧村亜佐美宅の敷地内にある高さ15mほどのポールのてっぺんに,亜佐美のマネージャーの死体が乗せられているというところから事件が始まります。XシリーズはGシリーズと同じ世界の話ですが,本作の登場人物が言及するように,やはり高いところに死体が吊り下がっていたGシリーズの「η」は自殺でしたが,こちらは他殺で,自分でポールをよじ登ることはできません。いったいどうやってポールの上に死体を置く(ポールのフックにベルトをひっかけてあったらしい)事ができるのか? この謎は,ポールの図面を見たW大学建築学科の助教である西之園萌絵が解き明かします。
 結局,SYアート&リサーチの小川,探偵の鷹知,それに萌絵の3人が別々の人物を犯人と考え,独自に自分の考えた犯人と思える人物にアプローチします。そして3人の犯人候補から,それぞれ「自分が犯人だ」という自白を引きだします。彼ら3人はそれでいいのですが,収まらないのは我々読者です。いったい自白した3人の中で,真犯人は誰なのか? 三者三様にかばいあって,真犯人を知りながら「自分が犯人だ」と自白してもおかしくない状況です。この作品は,3人の中のだれが真犯人かはわからないまま終わります。まあ,小川ファンは小川の指摘した人物,鷹知の能力を買う読者は鷹知の指摘した人物,これまでの実績から言っても西之園萌絵が指摘した人物が犯人だろうなどと考えるしかありません。
 東野圭吾作品には,やはり犯人が誰だかわからないまま終わる作品がありますが,読者は推理によって犯人を指摘できるように作られています。ところが,森博嗣のこの作品は,三人の中のだれが真犯人か,まったくわかりません。

| | コメント (0)

2023/03/22

桜が咲いた

Sumiyoshi-sakura
 先日は,近所の桜が咲き始めたという記事をアップしましたが,ここへきてかなり咲いてきたという事で,21日の祝日を利用して,花見に行ってきました。川崎元住吉の渋川沿いにある「住吉さくら」です。
 桜はまあ7分咲き程度でしょう。まだ満開にはなっていませんでした。この程度では,遠景として写真に撮っても,あまりきれいには写りません。だから写真は近寄って撮影したものです。木によってずいぶん花と蕾の割合が違うので,たくさん開花している木を撮影しました。

| | コメント (0)

2023/03/21

川崎ラゾーナ「栗山製麺」の中華そば

Kuriyama-chuka
 先日紹介した川崎ラゾーナ1階のフードコート内にある「栗山製麺」は,白楽の有名店「くりやま」の姉妹店です。ここの目玉は "つけめん" なんですが,メニューに "中華そば" もあり,今回はそれにしてみました。
 つけ麺のスープは,とても濃くて,箸が立つかと思うほどでしたが,中華そばの方も濃厚な豚骨魚介醤油です。厚めのチャーシュー,シナチク,のの字のナルト,今回もシナチクを追加しました。先日と同様,小型の丼いっぱいのシナチクがやってきました。
 また来よう。

| | コメント (0)

2023/03/20

えっ,そういう話なの?

Openai-logo_20230208014701 森博嗣のXシリーズを,既に2作読んでいます。今,同シリーズ第3作目,「タカイ×タカイ」を読んでいるところです。そこで,ChatGPTに「要約してください」と頼みました。そうしたら・・・・・↓

「タカイ×タカイ」は、森博嗣による小説であり、兄弟同士が戦うというストーリーです。
物語は、小学生だった頃に互いを殺し合うと誓い合った兄弟、タカイ兄弟が、成人してから再び対峙するところから始まります。兄弟は、幼い頃から父親の影響で殺し合いをすることが日常茶飯事でしたが、次第に兄弟の価値観が違うことが明らかになり、最終的には兄弟同士が真剣勝負をすることになります。
一方で、物語の背景には、兄弟が育った家庭や、現代社会における家族や人間関係についての問題が描かれています。兄弟同士の対決を通じて、家族や社会のあり方について考えさせられる作品となっています。
「タカイ×タカイ」は、第1回小説すばる新人賞を受賞した森博嗣のデビュー作であり、その後テレビドラマや映画化もされています。

 これはどういう勘違いでしょうか? 「タカイ×タカイ」は,女性奇術師の邸宅内のポールの上に,マネージャーの死体が載せられていたという事件を描くもので,タカイ兄弟など登場していません。このくらい自信をもって語られると,「そんな話だったかもしれない」と思えてきますwww。
 しかし内容はともかく,日本語はうまいですね。「タカイ×タカイ」読了後,自分で書いたふりをしてブログに載せようと思いましたが,内容的にはそうはいきませんが,文章的には十分だと思います。

| | コメント (0)

2023/03/19

東急と相鉄の新横浜線が開通

Ekimeihyou-hiyoshiSyounandai
 3月18日(土),東急と相模鉄道の新横浜線が開通しました。早速,東横線方面から相模鉄道湘南台まで乗ってみました。以前記事にしましたけれど,湘南台は全く馴染みがないわけではなく,そこへこの日からは乗り換えなしで東横線や目黒線から行ける様になるわけです。
 左の写真は,日吉駅の駅名標です。日吉の横浜方向の駅は,これまで「綱島」だけだったのですが,この日からそれに「新綱島」が加わります。
 次の写真は,東急東横線用の5050系に表示された「湘南台」という行き先。ちょうど私が駅に着いた時,相鉄20000系の湘南台行きが来たのですが,相鉄車両に「湘南台」が表示されていても珍しくないからとスルー。まあ,東急の車両に「湘南台」が表示されているのも,そのうち珍しくなくなるでしょう。

(写真は,クリックすると拡大します。)

| | コメント (0)

2023/03/18

MSのMicrosoft 365にAIチャットポッドを組み込み

365 マイクロソフトはMicrosoft365に,ChatGPTのような対話型のAIを組み込むという報道がありました。3月17日に発表された「Microsoft 365 Copilot」という製品です。
 折から私の職場では,来週,新しいパソコンがやって来て,その際OfficeはMicrosoft365に替わるとアナウンスされています。報道のようなことがAIでできるとすると,なかなか便利だと思います。メールなど,過去のメールの手直しで済む場合が多く,かなり便利かも。エクセルでも,表形式のデータをAIに示し,「このデータを○○の様な式で処理して,X軸を▽,Y軸を△にしてグラフを作って」などと指示すればいいのなら,これは結構便利です。多分,部下に頼むより便利かも・・・。

| | コメント (0)

2023/03/17

森博嗣の「キラレ×キラレ」

Kirare-kirare_20230315205501 森博嗣のXシリーズ第2作目は「キラレ×キラレ」です。
 電車の中で,30代の女性が背中を切られるという事件が発生しました。それほど深刻な切り裂きではなく,衣服を切ったら,少し皮膚も切れてしまい血が出ましたという程度。そんな事件が4件起こります。被害者はみな30代の女性でした。
 たまたま電車に乗っていた某社の男性役員が,その事件の犯人と間違えられたため,SYアート&リサーチに真犯人の捜索を依頼します。そんなわけで,小川&真鍋がこの事件に関わっていきます。
 はじめ,被害者の4人はお互いに何の関系もないと思われていましたが,小川&真鍋の調査で,4人にある共通点があることがわかりました。やがて起こる殺人事件・・・。
 この作品,しっかり本格推理小説しているのですが,前作「イナイ×イナイ」よりも犯人の予想がつきやすいと思います。サプライズエンディングでなかった点は,森博嗣作品らしくないというか,残念でした。最後に電車の中でカッターを持った犯人と対峙する小川を助けたのが,意外なあの人でした。助けてくれた女性は武術の心得があるようだと小川は感じましたが,あの人は武術を習っていましたっけ?

| | コメント (0)

2023/03/16

桜が咲いた

23sakura2 東京地方は開花宣言がなされていますが,うちの近所でも桜が咲きました。
 この木は,結構な大木だったのですが,数年前に切り倒されてしまいました。病気になったために,切り倒されたのですが,その切り株から細い枝がたくさん出てきて,その枝に花が付いたものです。
 「再生のために養生しています」という看板が掲げられています。また大木に育つかな?

| | コメント (0)

2023/03/15

期末

For-new-starting 3月になったと思ったら,もう3月の半ばです。このあわただしさと振り返った時の時間経過の速さはどうした事でしょう。
 まあ,理由はわかっているんですね。期末だからです。4月からの新年度を迎えるために,新しい書式も作らなければならないし,新年度から始まるいくつかのプロジェクトの起案も作らなければならないし,今年度(旧年度)から項目が変わるいくつかのアプリを作り直さなければならないし・・・と,いそがしいのです。
 まあ,例年と同じといえば同じなんですけどね。

| | コメント (0)

2023/03/14

着席ブロックと有料動画配信

Play-watching 最近,知人がジャズ?コンサートへ行って,「着席部ブロックに座って観賞した」と言っていました。しかし,着席ブロックという言葉を私は知らなかったので,調べたら "最初から最後まで立ち上がることなく着席して観賞する座席" だそうです。コロナ禍対応かと思ったら,コンサートに限っても1990年代からあったようですね。コロナ下で新しくできた制度かと思いました。
 コロナ下でできた制度というと,演劇の動画配信があります。実際には前からあったのかもしれませんが,小劇場などではコロナ禍で一般的になりました。
 私も小劇場系の芝居を時々見にいくのですが,コロナ以来,観客を入れずにネット配信(有料)となっていました。人気の劇団では,結局そのスタイルでコロナ前よりも観客数が増加し,リアルの観劇よりも安い料金で配信しているにもかかわらず,劇団としての実入りはいいようです。
 現在,たいていの劇団で,観客を入れて公演するようになっていますが,ネット配信での有料観劇も続いています。これなども,コロナ渦を経験したからこその変化でしょう。
 観劇の場合,日替わりのダブルキャスト公演の時など,キャストAはリアルで劇場に足を運び,キャストBの公演はネット配信で見るなど,結構面白い使い方ができるようになりました。コロナがなければ,そんなことができるようにならなかったかもしれません。

| | コメント (0)

2023/03/13

森博嗣の「イナイ×イナイ」

Inai-x-inai これまで,森博嗣のGシリーズを第1作「φ(ファイ)は壊れたね」から10作「χの悲劇」まで読んできて,先日書いたように第11作「ψ」は未刊の第12作「ω」が発売されてGシリーズが完結した後読もうと思いました。そこで次読む作品として選んだのは「Xシリーズ」です。
 Xシリーズは,美術品鑑定と探偵業を兼業している「SYアート&リサーチ」という東京にある事務所の事務員二人,30代の小川令子と芸大生のアルバイト(報酬をもらっていないのでボランティア)真鍋瞬市が係わった事件を描くシリーズです。常連の登場人物としてはもう一人,資産家の三男で,SYアート&リサーチにしばしば事件を持ってくる鷹知祐一朗がいます。所長の椙田泰男はめったに事務所に顔を見せず,何か別に活動しているようです。それもそのはずで,その正体は保呂草潤平らしい。あるGシリーズの作品で,椙田の事を女性探偵の赤柳初郎がうっかり「保呂草さん」と呼んで,椙田が顔をしかめるというシーンがありました。
 このXシリーズは,舞台となっている時期的には,Gシリーズの「η」の後辺りという考察がネット上に上がっていました。一作目「イナイ×イナイ」には,西之園萌絵もほんの一瞬登場するシーンがありました。萌絵がW大学に赴任してすぐという時期ですから,「η」のすぐ後という事になるでしょう。まあ,S&Nシリーズ,Vシリーズ,Gシリーズ等と地続きというか,同じ世界の作品です。
 さて第1作「イナイ×イナイ」。SYアート&リサーチに佐竹千鶴という若い美人が「私の兄を捜していただきたい」と依頼にやってくるところから始まります。探してほしいという兄は,千鶴が住む離れと同じ敷地にある母屋の地下に幽閉されているらしいというのですが,その母屋には義母(死亡した千鶴の父の後妻)佐竹絹子が住んでいます。佐竹家にはもう一人,千鶴の双子の妹,佐竹千春がいて,千鶴とは別の離れに住んでいます。双子の姉妹は,義母絹子と折合いが悪く,母屋にもあまり行ったことがないという事です。
 そもそも,SYアート&リサーチの椙田所長は,義母絹子から佐竹家の資産である絵画の鑑定を依頼されていて,その絵画の写真撮影を口実に小川と真鍋の二人が母屋へ調査に赴きます(そもそも千鶴がSYアート&リサーチを訪れたのは,絵画鑑定で佐竹家を訪れた椙田を知ったから)。
 その母屋で発見した地下牢,そしてその中では,双子の妹千春が首を絞められ,さらにのどをカミソリで切り裂かれて殺害されていました。地下牢は鍵がかかっていて入ることができない状況でした。やがてもう一つの地下牢への入口が発見されますが,千春の死体が入口の扉にもたれかかって死んでいたので,犯人がそこから逃げることはできません。密室状況の地下牢から犯人はいかに脱出したのか・・・。
 Gシリーズとは趣が異なり,「イナイ×イナイ」では主として小川,真鍋,鷹知達の細かく理屈っぽい考察が描かれ,しっかり本格推理小説しています。しかしその真相は,"やっぱり森博嗣先生" というような感じのものでした。
 Xシリーズがこの調子でいくのならば,オーソドックスな本格推理小説として読めるので,なかなか期待できます。

| | コメント (0)

2023/03/12

Amazonマーケットプレイスで古本を注文したら・・・・・

Sapiens-book 先日,Amazonマーケットプレイスで古本を注文したら,間違った本が送られてきました。ある本の下巻を注文したら上巻が送られてきたのです。
 Amazonにおける返品のルーチンに従って,Amazonサイトで購入履歴を開く→間違って送られてきた注文を選択→返品を選択→返品先住所と返品受付IDが出てくるのでそれを印刷,これで返品先住所に間違った商品を返品受付IDを付けて送付しようとしたら,マーケットプレイスの古本屋からメールが届いていることがわかりました。
 そのメールの内容は,「商品間違い申し訳ありません。すぐに下巻を発送いたします。上巻は返送不要ですので,お手数ですがご処分をお願いいたします。」というもの。あれれ,何の面倒もなく,正しい商品が届き,上巻が一冊,余分に手元にあるという状況になりました。欲しい人を募って,上巻は知人に差し上げました。
 Amazonで返品を行うのは初めての経験で,その返品ルーチンの明確さに舌を巻くとともに,面倒な返品なしに対応してくれた古本屋も,Amazonに店を出して間違えた時の対応のお手本を示してくれたようで,Amazonからショップの評価をお願いというメールが送られてきたとき,この古本屋に対して「星よっつ」をあげてしまいました。

| | コメント (0)

2023/03/11

森博嗣の「χ(カイ)の悲劇」(たいぶネタバレ)

Kai-nohigeki 森博嗣のGシリーズ前作,「λ」で,島田文子が登場し,「香港に行く」と西之園萌絵に話している状況から,香港が舞台,島田文子が香港で体験した状況を描く本作「χ」の時代は前期Gシリーズと地続きなのかと思っていたら,最後に明かされた島田文子の年齢を聞いてびっくり。たしかに,今作では,香港に来てどのくらいたったのかは言及されていません。香港の会社に新規入社して,「χ」事件の時は相当の地位にいるらしいから,島田文子が長い間香港に来て長く経っていてもおかしくはないです。前作「λ」での萌絵と島田文子との会話から,今回の「χ」が「λ」の直後だと思ったのは,こちらの一方的な勝手な思い込みという事です。
 そのつもりで読むと,「χ」のはじめに新入社員との会話の中で,島田文子は「長らく日本語を話していない」といっており,たしかに香港が長いのだろうと気づくべきだったのでしょう。
 本作は,ある時期真賀田四季側にいた島田文子のモノローグにより,これまでのGシリーズ作品の謎の部分が,ある程度(ほんのりとではあるが)語られます。以前の記事で言及した,各作品の犯行動機の部分についてははっきり語られませんが,真賀田四季が直接かかわっていなかったという事は語られます。Gシリーズ各作品,ギリシアアルファベットが係る事件は,真賀田四季の周囲にいた人達による一種の宗教的活動,金もうけのための活動だったという事のようです。
 さらにまた,真賀田四季がやろうとしていることは,世俗の宗教活動や金もうけ,殺人に非ず。真賀田四季側にいた島田文子のモノローグから,彼女なりの人類補完計画(エヴァンゲリオンでいう・・・)であることがわかります。飛行機事故の真相も,島田の理解に限定されますが,一応語られます。問題の飛行機事故で姉をなくしたという金(つまり萌絵の友人,反町愛の夫,金子勇二か?)が納得するというか「もうどうでもいい」と言うくらいには語られます。
 この作品中盤の,島田文子によるネット上のデータ取得の様子の描写は素晴らしい。リアル(と思わせる)ハッキングの様子を文章に起こすとこうなるんだと思いました。ここまでハッキングの様子をリアル(と思わせるように)描いた文章を読んだのは初めてでした。
 これまでの前期Gシリーズでは,加部谷,山吹,海月,萌絵など,おなじみのメンバー達の推理談議が行わていましたが,今回は金,島田,海月による山荘での推理談議が行われます。Gシリーズは全体として推理小説といっていいのかどうか疑問なのですが(はっきりと謎が解決されるとは限らないから),各作品に存在する推理談議の部分は,たしかに推理小説を感じさせてくれます。
 「φ」から「γ」までの前期Gシリーズ作品では,事件の真相,殺人犯人などは,確定的には示されませんでした。登場人物たちの推測が示されるだけ。読者はそれを信じるしかありませんでした。しかし本作では,香港のトラム内の殺人事件の真相が,島田文子のハッキングによる調査によって,ある程度確定的に示されます。それが真相だったのだろうと読者が思えるくらいには確定的に示されるのです。後期Gシリーズが前期とは異なり,皆そんな風ならうれしい。

   次の作品はGシリーズ第11作目,「ψ(プサイ)の悲劇」ですが,なんとなく,Gシリーズの最終作12作目「ω(オメガ)の悲劇」が出てから読もうかなと思ったりしています。「ψ」では,また今作とは容姿の異なった島田文子が出てくるのだろうなと思わせる「χ」のエンディングでした。

| | コメント (0)

2023/03/10

茅ヶ崎でフレンチを

Lunch-chigasaki
 神奈川県茅ヶ崎市に住む知人の招待で,茅ヶ崎市にあるフレンチの店でランチをいただきました。LE NICO a Ominami(ル・ニコ・ア・オーミナミ)という店で,住宅街の中にある店です。
 店員さんは一つ一つ説明してくれたのですが,今となってはすっかり忘れてしまったので,写真のみ示します。(写真をクリックすると,拡大します。)

  1img_9199 2img_9200 Img_9204 Img_9206 Img_9207 4856005923272349869a3846b6ca604aa54dd986 4856005923272349869dad4bd9226a3f24433866 Img_9209 9img_9208

| | コメント (0)

2023/03/09

東横線にも海老名行きが

Toyokosen-diagram 3月18日(土)から,東急新横浜線,日吉-新横浜間が開通し,相模鉄道新横浜線につながります。それに先立って,既に東急線各駅の時刻表は書き換えが完了し,反対に「17日までのダイヤ」として現状の時刻表がその上に簡易的に貼り付けられています。  18日からの時刻表を見ると,これまで見たことがなかった行き先,湘南台,海老名,大和,西谷,新横浜が表われていました。いよいよという感じです。 (写真は,東横線自由が丘駅の表示です。自由が丘駅を通っていない目黒線の駅にも,同様の行き先が示されているものと思います。写真は,クリックすると拡大します。)

| | コメント (0)

2023/03/08

横書き文章の段落

Letter2Letter1 最近の横書き文章で,段落をつける時,昔のように一文字下げるのではなく,一行空ける場合が多いように思います。他の方のブログなどを拝見すると,文字下げなしに段落毎に一行開けるという場合が多いようです。なかには,一文字下げたうえで一行開けるという方もいます。ブログの管理ソフト,つまりブログを書くためのソフトでは,段落で一行空ける事を標準的に,自動的に行ってしまうものもあります。
 私は昔流に,横書きでも一文字下げて,行は空けないスタイルでやってきましたが,会社などでの文章では,文字下げなし,一行空けで書いています。

 そろそろブログもそうしようかな?

| | コメント (0)

2023/03/07

森博嗣の「キウイγ(ガンマ)は時計仕掛け」

Morihiroshi-kai 建築学会が伊豆の日本科学大学で開催され,M県庁の職員になっている加部谷恵美やM大学助教になっている山吹,それにW大学准教授の西之園萌絵,N大学の犀川準教授ら,おなじみのメンバーが久しぶりに集合します。加部谷と山吹は,学会で共著(加部谷はほとんど名前を貸しただけだが)の論文発表するようです。
 その大学の学長が自らの部屋で射殺されました。その模様は防犯カメラでとらえられており,犯人はキウイに飲料缶のプルトップが刺さったもの手に持ち,逆の手で拳銃を持って学長を射殺しました。学長室には今回の建築学会のトップを務めていた副学長もいましたが,防犯テレビの映像では,犯人は副学長には目もくれず学長を射殺する様子が捕らえられていました。キウイの意味は何か?,副学長を無視したのはなぜか? 
 そしてその副学長も,密室の中で射殺死体で発見されます。学長射殺の時に副学長は無視したのに,後に副学長を殺害したのはなぜか?
 この作品でも他のGシリーズ作品と同様,事件の真相,殺人犯人などは,確定的には示されません。登場人物たちの推測が示されるだけ。読者はそれを信じるしかありません。しかも今回は,犯人の動機も全く示されていません。
 この作品,おなじみのメンバーが集合するのですが,この作品をもってGシリーズ第一部が終了します。NHKの朝ドラの最終回には,これまでの登場人物が一堂に会する場面が描かれますが,そんな感じでしょうか。西之園萌絵は本作の中で,懐かしい島田文子と再会しますが,つまりGシリーズの第二期の主人公である島田文子へのヒロインのバトンタッチという意味もあるのでしょう。私はもうすでに次作「χ(カイ)の悲劇」を読み始めていますが,萌絵たちおなじみのメンバーは登場せず,島田文子が主人公となります。
 Gシリーズは,以前の記事で述べたように,各作品が一つの大きな長編の章のように感じます。一つ一つの作品では,完璧に解明されず,それぞれの作品が謎を残しています。いちばん顕著なのは各作品の犯罪の動機の点です。物理的にこうやれば犯行は可能なのだから,犯人はこの人だろうというところまでは言及される(加部谷や萌絵たちの推測の形で)のですが,なぜそんな犯行が行われたのかは謎のままです。
 そういう意味で,「χ」からはじまる第二期Gシリーズが楽しみではあります。これまでの作品の謎が,「χ」以降の作品でどこまで解決されるのか・・・・・。

| | コメント (0)

2023/03/06

観光しやすい街

Seeing-people これまで旅行で行った街の中で,長崎は市内観光がとても回りやすかったという印象がありました。これは,長崎の市内電車,「長崎電軌」の存在が絶大です。おそらく街の規模的にもそれに適した大きさだったという事でしょう。長崎電軌は,かなりのフリークエントサービスで,1本逃してもすぐに次の電車がやって来て,その便利さで長崎の街自体の印象が大変よくなったと思います。
 今回行った京都については,2年前は観光案内に従って市内観光としては主としてバスで回りました。今回は電車で回ったのですが,2本の地下鉄や阪急,京阪という市内では地下を走る私鉄を利用して,かなり便利に市内観光ができました。京都も,それに適した市内規模の街だという事だと思います。坂本など,滋賀県内に行ってもJR湖西線で17分しかかからないという規模でしたからね。
 東京はどうでしょうか?
 コロナ前の話になりますが,オーストラリアから出張でやってきたエンジニアは,東京の交通を絶賛し,「JRの路線網でどこへでも行けるじゃないか!」と感動していました。私などは,JRだけでどこへでも行けるとは思えないのですが,彼は英語版の鉄道路線図を持っており,それでどこへでも行くのだと言っていました。私が地下鉄の路線図を印刷して渡しましたが,複雑すぎてよくわからないという印象の様です。まあそれはそうでしょうね。一部2路線が並行して重複して走っていたり,他路線への乗り入れが描かれていたり,なかなか複雑な路線図になっています。
 今回の私たちの京都旅行にしても,目的地まで駅から少し歩くのは仕方ないという覚悟でしたから,鉄道利用が便利に思えたのでしょう。そういえばオーストラリアのエンジニアも,「歩くのは苦にならないし,街を観察できてかえって結構」という人でしたね。

| | コメント (0)

2023/03/05

京都駅であんバタートースト

Anbutter_20230304010001
 さて京都旅行最終日,見るものは見て,食べるものは食べて,最後に東寺から京都駅に戻ってきて,新幹線の出発時間まで1時間半ほどゆっくり過ごそうという事で,例によってJR京都伊勢丹の6階にあるカフェ「ににぎ 甘味処 穂のあかり」に入りました。
 写真は,私が頼んだ「あんバタートースト」です。厚切りトーストの上につぶあんとバターがのっています。バターはまるでアイスの様に丸いドームの様に乗っています。普通に美味しいあんバターでした。
 これで今回の京都旅行ブログは終了です。

| | コメント (0)

2023/03/04

びっくり,京都旅行でガレットを食べた店は・・・・・

Gallet-kyoto 先日アップした,京都旅行で南禅寺から銀閣寺に行く途中で食べたガレットの店「ブレッツカフェクレープリー」は,私が人生で初めてガレットを食べた赤坂の店と同じチェーン店でした。
  京都旅行のガレットから連想して,そういえば初めてガレットを赤坂で食べた時の記事を書いたことがあるなあと思い,ブログ記事を「ガレット」で検索したら,いまから12年前,2011年7月31日の記事としてでてきました。その記事を読んで,その店の名前が「ブレッツカフェクレープリー赤坂店」であることを知った次第です。思いがけない事で,びっくりです。

 しかし,赤坂の店は,普通に気取った感じのオシャレなレストランで,京都の店は個人店舗と間違えたくらいのフレンドリーな接客と料理の説明で,まるでタイプが違いました。改めてびっくり。

| | コメント (0)

2023/03/03

京都旅行での夕食は,グリルキャピタル東洋亭

Toyotei
 京都旅行初日,比叡山延暦寺から京都に戻って来て,京都駅の伊勢丹で買い物をした流れで,伊勢丹の中で夕食の場所を探しました。それで結局,11階のイートパラダイスというレストラン街で,カミさんが名前を知っていた京都の老舗西洋料理の店「グリルキャピタル東洋亭」に入りました。
 写真は,私が食べた「和風ハンバーグステーキ」です。ハンバーグに目玉焼きが乗っていて,大きなジャガイモが丸ごと一個ついています。和風出汁と大根おろしでいただきます。ジューシーなハンバーグで,和風出汁と大根おろしで脂感が程よく調和されていました。写真には写っていませんが,丸ごと一個のトマトのマリネ,デザートのケーキ,コーヒーなどの飲み物が付いたセットを頼み,満腹になりました。
 写真を改めて見ると,ハンバーグよりジャガイモの方が存在感があるように見えますね。

| | コメント (0)

2023/03/02

哲学の道近くのガレット

GaletteHam-moriawase 京都旅行で南禅寺に行って,銀閣寺まで哲学の道を歩きましたが,その途中でランチを取りました。ガレット,それにハムの盛り合わせをいただきました。この店も,昨日の比叡山での食事と同様,旅行前に計画して入った店ではなく,行った先での食事時,たまたま入った店です。
 このお店,ブレッツカフェクレープリーという店でしたが,ネットで検索してみると,なんと新宿とか表参道に店があり,関西にはあとで進出したようです。店の方の,店や料理の説明の様子がチェーン店らしくなく,オーナーのいる個人店のような雰囲気だったのですが,そうではなかったのですね。

| | コメント (0)

2023/03/01

今日から3月

March_20230301014201 今日から3月ですね。「早いもので・・・」という感じです。つい先日,正月だったのにと考えてしまいます。
 学生さんにしても,社会人にしても,3月は何かと節目の月です。多くの人が,卒業したり,就業を終えたりと,環境が変わる時期です。それで,新しい門出への区切りの月という方も多いでしょう。
 イラストのように,3月といえばひな祭りという事になりますが,3月3日が祝日でないために,もう一つピンと来ていない方も多いかと思います。

| | コメント (0)

« 2023年2月 | トップページ | 2023年4月 »