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2023/03/23

森博嗣の「タカイ×タカイ」

Takai-takai 先日の記事で,ChatGPTに内容を要約させようとして,見事に失敗した森博嗣のXシリーズ第3作目「タカイ×タカイ」,読了しました。
 有名なマジシャン,牧村亜佐美宅の敷地内にある高さ15mほどのポールのてっぺんに,亜佐美のマネージャーの死体が乗せられているというところから事件が始まります。XシリーズはGシリーズと同じ世界の話ですが,本作の登場人物が言及するように,やはり高いところに死体が吊り下がっていたGシリーズの「η」は自殺でしたが,こちらは他殺で,自分でポールをよじ登ることはできません。いったいどうやってポールの上に死体を置く(ポールのフックにベルトをひっかけてあったらしい)事ができるのか? この謎は,ポールの図面を見たW大学建築学科の助教である西之園萌絵が解き明かします。
 結局,SYアート&リサーチの小川,探偵の鷹知,それに萌絵の3人が別々の人物を犯人と考え,独自に自分の考えた犯人と思える人物にアプローチします。そして3人の犯人候補から,それぞれ「自分が犯人だ」という自白を引きだします。彼ら3人はそれでいいのですが,収まらないのは我々読者です。いったい自白した3人の中で,真犯人は誰なのか? 三者三様にかばいあって,真犯人を知りながら「自分が犯人だ」と自白してもおかしくない状況です。この作品は,3人の中のだれが真犯人かはわからないまま終わります。まあ,小川ファンは小川の指摘した人物,鷹知の能力を買う読者は鷹知の指摘した人物,これまでの実績から言っても西之園萌絵が指摘した人物が犯人だろうなどと考えるしかありません。
 東野圭吾作品には,やはり犯人が誰だかわからないまま終わる作品がありますが,読者は推理によって犯人を指摘できるように作られています。ところが,森博嗣のこの作品は,三人の中のだれが真犯人か,まったくわかりません。

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