東京オリンピックの選手村だった「晴海フラッグ」で,マンション街としての入居が始まり,BRT(BusRapidTransit)が走り出したというニュースは,テレビでもやっていましたが,ネット上に記事もありました。
この記事を読む限りでは,ここのBRTは,BRTとはいえない状況になっているように思えます。
BRTというのは,全国の自治体で検討はされるのですが,検討される路線数に対して,実現する路線数がかなり少ないと認識しています。BRTには,いろいろなメリット・デメリットがありますが,最大のメリットは,鉄道のように定時運行が約束されるという点にあります。
今回の晴海の記事では,「計画当初は、バス専用レーンやPTPS(交通優先信号。バスに合わせて信号を制御)で通常のバスよりスムーズに走行し、券売機導入(現金精算の場合)によって、運転手が車内で精算を行わなくてもよい運行体制が模索されていた。」というのがそれに関わる点だと思いますが,それが保証されないのなら,単なるバス路線です。
そもそも,たいていのBRTは,廃線にした鉄道線路跡を専用道路にして走らせるバスであって,だからこそ他の交通の影響を受けないし,鉄道のような定時運行が約束されるのです。別に鉄道線路跡を利用しなくてもいいのですが,定時運航できるかどうかは重要な要素です。
晴海の路線はそのようなものではなく,路線の性格としては,現在のところ単なる普通のバス路線ですね。だから,他の自動車の渋滞に巻き込まれるし,定時では走らない。
ちなみに,BRT一般が自治体での検討件数の割には具体化しないのは,結局専用道路を作らなければならないから。鉄道を廃線にして道路化するにしても他の方法で専用道路を作るにしても,結構金がかかる。その段階で,メンテ費用を含めた運営費は安く済むとしても,初期投資が膨大になるという事になって,並行する一般道路を使った普通のバス路線でいいやという事になるからです。
結局,普通のバス路線にするか,または赤字でも一定の利用者がいる路線は,現在の鉄道を維持した方が安上がりという結論に至るのです。
(挿絵は,マイクロソフトのAI描画システム,ImageCreaterに「BRT」のテーマで描かせたイラスト。)
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