CBDC導入の是非、国民的議論経て決まるべき?
3月5日,日銀の植田和男総裁がフィンテックの最新動向を議論する都内のイベントであいさつし,個人や企業など幅広い主体が利用することを念頭に置いた中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入の是非は,国民的な議論を経て決まるべきものだと述べたという報道がありました。
銀行制度がしっかり確立して民間のキャッシュレス決済が機能している先進国では,国民はCBDCを使う必然性はありませんしCBDCを導入する必要はありません。
しかし中国では,アリペイやウィーチャットペイなどのキャッシュレス決済が浸透してしまったために,政府にとって金の動きが把握できなくなってしまい,2大ペイに替わる政府主導のCBDCがぜひとも必要になりました。中国でCBDCが運用されたとしても,2大ペイを便利に使っている中国国民がそれを必要としているかどうかは疑問ですが,とにかく民間キャッシュレス決済から金の流れを取り戻すため。政府としてはCBDCを作らざるを得なかった。
問題は国民からそっぽを向かれたとしても,中国製のCBDCが完成したとして,そのシステムを途上国に売り込んで採用されたとき,世界に一大 "デジタル元" 経済圏ができてしまう事です。ドルに代わってデジタル元という世界通貨が出来上がってしまう。
そうさせないために,各国は自国通貨のデジタル版を作らざるを得ないわけです。自国では全く必要ないのに,デジタル元に対抗するために,デジタル円やデジタルドルを作らざるを得ない。
だから,国内に「デジタル円が必要かどうか」を問うて国民的議論をしたとしても,「必要ない」という結論になるのは明らかです。CBDCを作った動機は,国内で便利に使うためではないのですから。
中国のデジタル元システムの輸出に茶々を入れるために,先進各国のCBDCが開発されているのです。
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