2025/03/02

クリスティーの「青列車の秘密」

Mystery-of-the-blue-train クリスティーの「青列車の秘密」を読みました。初めてではありません。その昔,子供向けの版(ポプラ社のジュニア世界ミステリーシリーズだったかな?)で読んだのです。それ以来読んだことがなかった。細かい筋も犯人も,すっかり忘れていました。なんとなくオリエント急行殺人事件のように,青列車内でお話が進行するような記憶がありました。ところが,青列車が出てくるのは,初めの方で殺人事件が起こるシーンと最後にポアロが謎解きをする部分だけだったのです。旅情ミステリー要素もあるような気がしていたのですが,まるで違っていました。
 フランスを走る豪華列車「ブルートレイン」の個室の中で,アメリカの富豪令嬢(と言っても,イギリス貴族の妻)が殺害され,持っていたはずのルビー "焔の心臓" が紛失していました。たまたまこの列車に乗り合わせた名探偵エルキュール・ポアロは,フランス警察と被害者の父親である富豪から請われるままに,事件解決に乗り出します。しかし,被害者の令嬢とルビーに関係する人々,令嬢の愛人であるいかさま貴族,令嬢の夫,夫の愛人であるダンサー,宝石商,"伯爵" と呼ばれる謎の人物など,うさん臭い人物たちが跋扈し,事件は混迷を極める・・・・・。
 これら多彩な人物の中を解決を求めて動き回るポアロの活躍は,とても面白いです。私がクリスティーの最高傑作と考えている作品「五匹の子豚」は,初めポワロが数人の容疑者に対面して聞き取り調査を行い,その後その容疑者たちがポアロの要請に従って事件に対する手記を書くという展開で,いささか退屈なところがあるのに対して(もちろんその聞き取りと手記の中に手掛かりが隠されており,読者はポアロと同じように事件やその犯人を推理できるように構成されている完璧なパズラーで,ポアロの最後の推理の披露では,自分では思いもよらなかった,しかし気づいてもよかったその論理展開に舌を巻くのですが),本作「青列車の秘密」では,ポアロから離れて,第三者目線で胡散臭い登場人物たちの行動が描写され,だからこそ途中の展開がもとても面白く読めました。「五匹の子豚」では物語の構成が完全にわかっているのに対して,本作は物語の今後の展開が全然わからないというタイプの推理小説で,本作品は私の中ではクリスティー作品としてかなり上位に位置しています。
 ヒロインともいうべき,遺産を相続したしっかり者の女性は,セントメアリーミード村でお金持ちのコンパニオンをしていた女性で,最後に同村へ帰っていきますが,セントメアリーミードと言えば,ミスマープルが住んでいる村ですね。

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2024/10/12

アガサ・クリスティーの「杉の柩」

Sad-cypress

 アガサ・クリスティーの「杉の柩」を読んだわけですが,今回これは3度目くらいですね。最近あまり英語に触れていないものだから,英語の勉強のためにイギリスで製作されたドラマ(英語版)の「杉の柩」を見て,原作をもう一度読んでみようと思ったのが読書のきっかけです。だから,犯人もトリックも熟知している状況での再読でした。

 事件は,主人公といえるエリノア,その婚約者ロディ―,誰からも愛されるメアリイの三角関係に筆が費やされ,その一角,メアリイが殺害される。当然,三角関係が事件に関係していると思う。しかし・・・・・,という物語(ミステリーの紹介は難しい)。

 クリスティーの傑作,「死との約束」が同じ趣向の作品だった。もちろん「死との約束」は三角関係の話ではないし,舞台も「杉の柩」の様にイギリスのお屋敷内というわけでもないし,殺害に関するトリックも全然違っているが,大きく俯瞰した趣向としては,同じものですね。クリスティーには,この趣向の作品が他にもあるように思います。

 「趣向」とだけ言っては不親切のようですが,下にその「趣向」を書きますので,未読の方,クリスティーをあまり読んだりドラマを見たり映画を見たりしていない方は,目をつぶってください。↓

 つまり,「杉の柩」だったら三角関係に焦点が当てられているように見えて,実は殺人事件に三角関係は関係なく,実はお金が動機だった。当然犯人も,三角関係内の人ではありませんでした。上に述べたように,三角関係の話は冒頭から40%の位置までを占めているにもかかわらず,実は関係ないのです。無関係の部分と言っても,その40%の部分に事件の伏線はたっぷりと埋め込まれています。

 「死との約束」は,家族同士のもめごとが殺人事件の引き金になっているように描かれていて,家族内に犯人がいるように思われるが,実は家族には関係ない過去のある事実が引き金だった,といった具合。
 表立ってスポットライトが当たっている明らかなトラブルは殺人事件に関係なく,その裏でうごめく闇の部分が殺人事件を生んだという事です。
 何しろ,3度目の「杉の柩」,しかもデヴィッド・スーシェがポワロを演じたドラマ版を見た直後という時に,何もかも知っている状態での読書でしたが,だからこそクリスティーが施した大胆な伏線の数々を味わう事ができました。今回再読して,推理小説のこういう読み方もありだとつくずく思いましたね。まあ,再読に耐え得る物語の面白さがあるからこその話ですけれど。

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2024/05/30

クリスティの「忘られぬ死」を再読

Wasurarenusihi 「忘られぬ死」は,クリスティのいつもの名探偵,ポアロもミス・マープルも出てこない作品で,オリエント急行の殺人やナイルに死すほど有名ではありませんが,批評家など,玄人からの評価がきわめて高い作品です。批評家によっては,クリスティーの作品として5本の指に入ると言っています。
 冒頭は6名の登場人物によるモノローグ。一年前に死んだローズマリー・バートンの事をそれぞれに思い出していました。ローズマリーは,1年前の誕生パーティーの最中に,青酸カリを飲んで死んでいます。自殺として処理されていますが,ローズマリーの夫,ジョージ・バートンは,その死因に釈然としないものを感じていました。実際,最初の6名によるモノローグで,それぞれにローズマリーに対して殺意を抱いていたようです。
 その1年後の誕生日がやってこようというときに,ジョージの元に匿名の手紙がやってきます。それにはローズマリーの死が自殺でなく,殺人だと書いてありました。念が入った事に,そんな手紙は2通やってくるのです。ジョージは次の誕生日に,同じレストランで,同じメンバーを集めて,誕生会を開くことにします。その場でローズマリー殺害の犯人をあぶりだそうというのです。
 そしてその1年後の誕生会の時に,今度はジョージが青酸カリで毒殺されてしまいます。誕生会の出席者や他のレストランの客による複数の証言から,ジョージのグラスに誰も青酸カリを入れる機会がなかったことが分かります。いったいどうやってジョージのグラスに青酸カリが投入されたのか? 犯人はだれか? HowdunitとWhodunitのミステリーと言えるでしょう。
 クリスティーの他の作品に登場しているレイス大佐ががケンプ警部に協力してこの謎を解きます。
<以下,ちょっとネタバレ>↓
 あまり詳しく書けませんが,ジョージを殺してしまっては,犯人側が不利益を被る,あるいはジョージを殺す動機がないので,読者としては犯人を疑いずらい状況が生まれます。ここら辺は実にお見事ですね。

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2024/02/21

ロドリゲス・オットレンギの「決定的証拠」

Proof ロドリゲス・オットレンギは,アメリカのアメリカの歯科医師で,探偵小説を書いていました。歯科治療に関する専門書も出版しており,そっちの方が本業でしょう。「決定的証拠(Final Proof or the Value of Evidence)」は1898年(明治31年)に出版された短編集です。
 この中で主人公として登場するのは,プロの私立探偵のバーンズと,大金持ちで宝石の収集家,バーンズの友人で素人探偵のミッチェルの2人です。この二人が,ある時は競い合い,ある時は協力して事件を解決します。
 冒頭の「不死鳥殺人」は長めの短編で,死亡して火葬したはずの男の死体が,川から引き上げられるという不思議な事件が扱われています。この作品では,バーンズ探偵が捜査活動を行い,ミッチェルのところに事件の話を持ち込み,ミッチェルが解決します。こう書くと,ミッチェルが安楽椅子探偵のように思われるかもしれませんが,そういうわけではありません。作品によっては,バーンズが解決し,ミッチェルはバーンズの話を聞くだけという場合もあります。逆にミッチェルの行動が描かれ,バーンズはそれを見守るだけという作品もあります。
 「ミッシングリング」という作品は,この短編集の中では特異な作品です。ちょっと殊能将之の「黒い仏」に似た味があります。「黒い仏」は,SFのベストテンに選ばれたりしており,ことによったら「ミッシングリング」も,そんなベストテンに選ばれるかもしれません。
 「決定的証拠」に収められた11作品は,シャーロック・ホームズの時代に書かれたものですが,それぞれ機知に富んでいて,なかなか楽しめました。後の時代の推理小説に比べると,推理小説と言えるのかという面もあるかもしれませんが,少なくともこの先どう展開していくのだろうという興味で読ませる作品集です。

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2024/02/11

アーサー・B・リーヴの「エレインの災難」

Elaine 「エレインの災難」には,"ケネディー教授の冒険より" という副題がついています。先日紹介した「無言の弾丸」と同じ,アーサー・B・リーヴのケネディー教授の活躍を描くシリーズの5冊目の本で,1915年に出版されたものだそうです。「無言の弾丸」と同じく,Kindle版ヒラヤマ探偵文庫で読みました。
 当時の連作映画の脚本のノベライズ版だという事で,全編,"拳骨" という殺人も辞さない泥棒とそれを捕まえようとするケネディー教授の活躍を描く連作短編集です。大人向けと子供向けの違いはあるものの,今やはりkindleで読んでいる江戸川乱歩の「少年探偵団」もののようなノリの作品で,推理小説ではなく,冒険活劇,冒険サスペンスといったものです。"拳骨" という悪党は,決して殺人は犯さない怪人二十面相と違って,宝石を盗むときは必ず殺人を犯すという悪党です。エレインというのは,最初の短編で殺される大金持ちのドッジ氏の令嬢で,ケネディー教授と一緒に全編に登場して,毎回 "拳骨" からひどい目にあわされるヒロインです。
 この連作集の最大の謎は,"拳骨" の正体は誰かという事です。それは最後の短編で明らかにされますが,表の顔は最初から登場している人物です。往年の連作映画の雰囲気が味わえる連作集で,ハラハラドキドキは推理小説のそれとは違いますが,それなりに面白く読めました。
 この悪党の名前 "拳骨" というのは,拳骨の絵を署名代わりに残すことからきていて,名前としては何だか奇妙ですが,巻末の訳者解説によれば,日本語に最初に翻訳された本の名前が「探偵小説拳骨」といい,大正3年に出版されたそうです。大正5年には「拳骨上下」が出版され,その後の大正時代の翻訳版も "拳骨" の名前を使っていて,現代訳の本書も,それに倣ったという事でしょう。原語(英語)では何というのでしょうね。"Fist" とでもいうのでしょうか? 「フィスト」と表現されていたら違和感はないのでしょうが,あえて大正時代に敬意を表して本書でも "拳骨" と呼ぶのでしょう。

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2024/01/26

斜線堂 有紀の「廃遊園地の殺人」

Haiyuenchinosatsujin 開業間近だったテーマパーク「イリュジオンランド」で,地域の人や関係者を招待して行われたプレオープニングの日,観覧車からの射撃による殺人事件が起こる。そのため,テーマパークは開業することなく廃園となってしまった。殺されたのは4人。その廃園となったテーマパークを,廃墟好きの大金持ち,十嶋庵(としまいおり)が買い取る。それから20年たったある日,廃墟となったテーマパークに,一般公募で当選した9名の廃墟好きが招待された。
 20年ぶりにゲートが開かれたテーマパークで起こる新たな殺人事件。どうもテーマパークにやってきた9人は,単なる廃墟への興味だけではなく,それぞれ別の目的を持って応募したらしい。それぞれの目的とは何か,犯人は誰か,そして20年前の乱射事件の真相とは?

 なかなか興味津々の展開,廃墟マニアのフリーター(コンビニアルバイト),眞上栄太郎(まがみえいたろう)が,日ごろのコンビニでの人間観察で培ったシャーロック・ホームズ張りの推理力で謎を解く。最終章で,観覧車の前に全員を集めて「さて・・・」と,すべての謎を解決します。そのオーソドックスな謎解き風景がいい。しかし,登場人物が皆個々に秘めた目的をもって廃テーマパークに集まっていて,それら目的が錯綜して謎解きもかなり複雑なものとなり,謎解き部分が結構長いものとなっています。まさに眞上君の独壇場です。
 Amazonへのある読者の投稿で,登場人物たちの名前が難しいと苦言を呈した人がいましたが,実はわかりやすい名前です。元テーマパークの渉外担当者が渉島恵,販売スタッフだったのが売野海花,ミラーハウス担当者が成家友哉,ジェットコースター担当者の息子が鵜走淳也といった具合。"渉" "売" "家" "走" という字が入っていて,いちいち「この人は何をやっていた人だっけ?」と登場人物表を見なくてもいいのです。はじめは廃墟好きのOLという触れ込みだった女性が常察凛奈(つねみりんな)と,"察" の字が入っていて,隠していた実際の職業を暗示している。 確かに読みにくい名前ですが,必然性があるのですね。
 謎も盛りだくさんで,読んでいても興味が尽きません。それが最後にはすっきり解決します。かなり面白く読みました。

 洞察力が半端ないコンビニ店員,眞上栄太郎はなかなか好ましいキャラクターで,彼を主人公にしたシリーズができればいいと思いました。最終章のラストは,次回作を予告しているように感じました。

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2024/01/22

マイクル・イネスの「ある詩人への挽歌」

Arushijinhenobanka イネスの「Lament for a Maker」が和訳され,Kindleで販売されている事は知りませんでした。舞台となるのは,スコットランドのキンケイグという村で,そこの高台に建つエルカニー城での城主の墜死がメインテーマになります。
 江戸川乱歩の有名な評論集「幻影城」の中にイネスの紹介があり,この「Lament・・・」の内容として「はじめ三分の一ほどが古いスコットランド方言丸出しの記録で,普通の字引きに無い言葉が多く,殆んど理解しえなかった」と言っています。この "はじめの三分の一" の語り手というのが,イーワン・ベルという靴直し職人で,おそらくこの部分がスコットランド方言で書いてあるのでしょう。和訳された文章では,そこら辺の機微はわかりません。
 この作品は,第一部から第七部まで,7章に分かれていて,第一部の靴直し職人に始まり,第二部が大雪で車が立ち往生して城に滞在している青年ノエル・ギルビー,第三部が弁護士のアルジョー・ウェダ―バーン,第四部がイネスの推理小説の常連であるジョン・アプルビイ警部といった具合に語り継がれ,最後第七部に至って第一部の語り部である靴直し職人のイーワン・ベルに戻って,事件解決後の村の様子,城の様子,登場人物たちのその後の様子が語られて終わります。そして,死体が出てくるのがイーワン・ベルの語り部分の最後ですから,初めから三分の一を超えたところです。はじめから三分の一のところでやっと事件が起きるわけです。ところが,第二部の語り手に替わって,しばらくはその青年がキンケイグ村のエルカニー城を訪れる経緯が長々と続き,城主ラナルド・ガスリーの墜死が描かれるのが,初めから45%のところとなります。
 こう書くと,つまらない推理小説のように感じるかもしれませんが,キンケイグ村とスコットランドの古城の描写はそれなりに興味深く,ミステリーとは違うところで楽しいものでした。
 最後には連続するどんでん返しとなります。しかし,殺された人が読者が考えているとおりの人でない事を読者が途中で疑うような書き方をしていません。クリスティなら,もっと前から,ひょっとしたら殺されたのは別人かもしれないと仄めかすような書き方をするでしょう。イネス流では,話の途中で謎興味が盛り上がらないのです。正体が知れた時,読者は驚愕するかも知れませんが,途中の謎興味は盛り上がらない。真犯人にしても,読者が疑わないまま,「私が殺したのだ」と突然独白し,あの人か?,この人か?という謎興味は途中で盛り上がらない。疑いもしなかった人物が独白して,驚愕はするけれど・・・。
 という事で,落ち着いてじっくり読むには面白い推理小説でしたが,読んでいる途中で背中がゾクゾクするような謎小説というわけではありませんでした。

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2024/01/16

アーサー・B・リーヴの「無言の弾丸」

Muonnodanngan_20240115233301 アーサー・B・リーヴは,1880年に生まれ1936年に亡くなった,アメリカの推理小説作家です。クレイグ・ケネディー教授を主人公にした作品は人気となり,ケネディー教授は「アメリカのシャーロック・ホームズ」と言われたとか。
 その短編集の一つが,今回読了した「無言の弾丸」です。ヒラヤマ探偵文庫という,訳者の自費出版的な電子書籍(Kindle版)で読みました。
 その最初の短編「無音の弾丸」は,射殺された人がいるのに誰もピストル発射音を聞いていないという不思議をメインにした作品なのですが,我々現代人ならば,「サイレンサー付きの銃をつかったのだろう」と思います。そして真相は,まさにその通りなのです。作品発表当時は,サイレンサーが発明されたばかりの頃で,それが探偵小説のトリックとして使われて違和感なかったのでしょう。でも,現代では,もう賞味期限が切れていると言わざるを得ません。
 そんな「現代の眼でみれば・・・」という作品が散見される短編集なのですが,冒険小説として,「この先どうなるのだろう」と期待される作品もあり,最初は「ちょっとね・・・」と思っていたのですが,2作目以降を読んでいくにつれて次第に盛り返し,全体的にいえば案外面白く読めました。

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2024/01/11

雨穴氏の「変な絵」

Hennnae ウェッブライター,雨穴(うけつ)氏の「変な絵」を読了しました。雨穴氏のミステリー作品は,「変な家」「変な家2」と読んできて,「変な絵」も期待をもって読みました。期待にたがわない謎興味満点の作品でした。
 大学生の佐々木修平が,同じサークルの後輩,栗原に勧められて,あるブログを読みます。栗原とは,「変な家」「変な家2」でも登場したあの名探偵栗原の大学生時代の姿だと思われます。
 そのブログ「七篠レン 心の日記」は,奥さんが妊娠し,それを喜んでいる男性のブログでした。イラストレーターの奥さんは,何枚かのイラストを描き,その絵もブログに載っています。ところが,奥さんの絵の秘密を知ってしまったとしてそのブログの更新が止まりました。
 そんな章から始まって,最終章までの4章,それぞれが独立した短編となっていて,最終章でそれらが統合され,一つの長編ミステリーとなります。
 絵の秘密と人間関係の秘密。それが融合した推理小説で,面白いですよ。

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2024/01/10

雨穴「変な家2」

Hennaie2 一昨日紹介した「変な家」に続いて,雨穴氏の「変な家2」を読みました。前作,「変な家」を上梓した雨穴のところには,日本全国から変な家の設計図が送られてきて・・・というところから「変な家2」は始まります。
 前作「変な家」は,変な家の設計図が3枚出てきましたが,今回はなんと11枚という大判振る舞い。それが①~⑪まで,一枚一章という形で紹介されます。①章から⑪章まで,時系列的にバラバラに並んで,とりあえず各章が個別に完結しています(完全にというわけでなく,それぞれ残された謎やその先どうなった的な不完全さはあります)。そして最後,12番目の章で,前作にも登場した雨穴氏の友人の設計士,栗原が登場し,11の話が全てつながり,伏線や各章で残った謎が全て回収され,物語が完結します。
 前作と同様に,謎興味が横溢するミステリーです。

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