行こう行こうと思っていて未だに果たせない場所として,桧原村の「小林家住宅」があります。この家は,標高750mの尾根筋に建つ18世紀前半頃に建てられた住宅です。このあたりでは,大きな住宅は尾根筋に建てられていたそうです。交通手段として馬を使っていた時代では,谷筋より尾根筋に邸宅を構え,尾根筋を交通ネットワークに使うのが便利だったという事です。
さて,この「小林家住宅」は国の重要文化財に指定されており,平成23年からおよそ3年にわたる保存修理工事を行い,藁ぶき屋根も復活しました。谷筋にある現代の道路から補修材料を尾根筋の住宅にあげるために,国が森林用モノレールを敷設したのですが,これを桧原村が譲り受けて,小林家住宅見学者用のモノレールとして使っています。このモノレールの映像は,YouTubeにたくさん上がっています。乗車体験を動画にしたものです。これがなかなか面白そうで,私も行ってみたいと思っています。
それら動画では,小林家に到着する直前に左から一本のレールが寄り添ってきて,小林家まで達しています。こちらのレールは何だろうと思っていたのですが,ネット上で捜索して,これは住宅補修用のモノレールより先にできていたモノレールだという事がわかりました。桧原村では,麓の道路から尾根筋にある住宅まで福祉モノレールというのを設置していて,これまで5路線が建設されました。しかしながら,その中で最長の猿江線(路線長2.4km)は,猿江集落に住む人がいなくなり,モノレールは利用者がいなくなって数年前に撤去されてしまったそうです。
さて,小林家住宅まで住宅補修用のモノレールより先にできていたモノレールは,福祉モノレール「千足線」という路線で,補修用の新しいモノレールができる前は小林家でも使っていたモノレールだそうです。この福祉モノレール,現座でも小林家より少し下にあるお宅が使っているので,新しいモノレールができても猿江線のように廃止される事無く,現存しているとの事です。
小林家住宅へは,上述の様に元補修資材運搬用のモノレールを使って15分ほどで行けるのですが,麓の道からハイキングとして歩いても登れます。行程は20分ほどだという事で,この道を上り下りしている動画もYouTubeで上がっていました。この登山道は幅員1m程の小道ではありますが,全線舗装されていて,歩きやすそうです。しかし勾配が急なので,なかなか体力は使いそうです。この登山道は千足線に沿っており,麓の道路側の駅は元資材運搬用モノレールの駅とはちょっと離れたところにあります。GoogleMapのStreetViewで登山道を全線見る事ができるので,登山道をたどりつつモノレール線路も辿っていけば,下の道路側の駅を見つける事ができました。
下のStreetView画像が,その終点付近です。地図で,元資材運搬用モノレールの駅(総角沢モノレール駅)と千足線の終点の位置関係がわかるでしょう。もちろんだからと言って,このモノレールに乗ることはできません。
なお,元資材運搬用モノレール,現在では小林家住宅へ観光客が乗るモノレールは,事前予約が必要ですが,乗車賃は無料です。小林家も無料で見学することができます。
(下の写真は,クリックすると拡大します。)
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